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〈残酷な告白〉

その日の夜…私はステイルに前世の事を話そうと決意した。


鳥籠のような私の寝室に現れたステイル。


「ステイル様…今日はステイル様にお話ししたいことがございます。」


私は彼の目を見て強い眼差しでそう言った。


流行病の中思い出した記憶。

華やかな結婚式の後のステイルからの愛と執着に包まれる日々。

彰人に囚われたステイル。

私はもう彼に前世の記憶を隠しながら生きていくことは出来ないと悟った。

この事を彼に伝えることによって彼もまた今は存在しない彰人から解放されると思った。


「…私への愛の言葉かな…それならばいつでも何度だって聞く準備は出来ているよ?さぁ、私への愛の言葉を伝えて…?」そう言いながら手を私の頬へ伸ばす。


「もちろん、私はステイル様をお慕いしております。でも今日の話は違うお話しです。少しの間聞いていただきたいのです。」とその手を掴む。


するとステイルは私の腰を抱き寄せ聞く体制を整えた。


「これは夢だと思っていた…私の前世の記憶の話です。」


その一言でステイルの身体が硬直する。

抱き寄せた手に力が入っているのを感じた。

それでも私は前世の事を話し始めた。



前の世界での名前は"あやの"だったこと。

学生の時に出会った"あきと"と結婚し娘を授かりその子の名前が"ひな"だったこと。

その陽菜を大切に育てていたこと。

決して治らない病にかかったこと。

「そして…最後は大切な家族に見守られながら息を引き取りました…。…ステイル様、私は"綾乃"としての記憶があるのです。その事を無かったことには出来ません。彰人、そして陽菜に出会えなかったらきっと今の私はいません。でも、"綾乃"という人生は既に終え、私はアヤナーラとして生きています。ですから、どうか彰人に囚われずに今の私だけを見ていただけませんか?」


ステイルが気がかりだっただろう事を全て話した。

それが誠意だと思っていたからだ。


…でも違った。



「…アヤ、君は何を言っている…?」

その声はとても低く恐怖を感じさせるものだった。

顔を見上げると嫉妬と狂気に満ちたステイルの顔があった。


「つまり君は私に抱かれなら違う男を思い出していたのか? 私に触れながら娘を思い出していたのか?」


「ち…違います…私は今、目の前にいるステイル様だけを…」


「…黙れっ!」と私の肩を手が食い込むほど強く掴んだ。


「…君は残酷だ、アヤ。そんな真実知りたくもなかった。…もう既に死んでいる男に…その娘に、私の妻の心が奪われているのか…!私は一生かかってもその聖域に立ち入ることすら出来ないというのか…」そう言って涙を流す。


「…わかった。いいよ、アヤ。君がそこまでその男に囚われていると言うのなら、私が直接、君の頭の中からその男の痕跡をすべて抉り出そう。…二度と私が知らない男の名前を呼ばせないために…」


そう言って彼は乱暴に扉を開けて寝室から出て行った。

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