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〈金の鳥籠〉

結婚式を終えた私の生活は一変した。

ヴァレンシュタット公国の王子妃としての公務に追われると思っていたが、私はステイルの執務室と寝室の間にある部屋に事実上閉じ込められていた。


もちろんエミリーを連れて城の中と一部の庭を歩くことは許された。

それもステイルに許可を取った上で…だったが。

エミリー以外の私付きの侍女は公爵家に戻され私語を全く話さないよう教育された侍女を付けられた。

ユリウスはいくらなんでもと抗議をしてくれたがステイルは聞かなかった。


毎日ステイルは私を優しく深く愛してくれていた。

結婚式が終わりステイルは、私を閉じ込め全て自分のものにしたと思っているようで、怖さは少しずつ和らいでいったように見えた。


でも小さな時から公務についても教育を受けており王子妃としての務めを果たしたいと思っていたため「ステイル様、今日は私も公務にご一緒させてください。私も王子妃としての務めを果たしたいのです。」と尋ねるとステイルの瞳から光がスッと消えた。


「国民に君を見せる必要などない。君の美しさ、君の全てを知るのは私だけでいい。」と深く口づけをしてきた。




城下町が見える窓から外を眺めると遠くで子供達が駆け回っている。

ふとそれが陽菜と重なる。


陽菜は幸せに暮らせただろうか…どんな大人になったのかな…と想いを馳せる。

いつの間にか一筋の涙が頬をつたっていた。


肩を揺らした瞬間、ステイルが私の背後に立った。


私の顔を覗き込み涙を拭うステイル。

「アヤナーラ…いやアヤ、君は今何を想っているのだ。城下町に会いたい者でもいるのか?アキトとやらにでも会いたいのか?」

優しくもゾッとするような声。


ステイルは彰人のことを忘れてなどいなかった。

今もなお、今は存在しない彰人への敵対心、執着心、憎悪を向けていた。


ステイルは私の首筋をすうっとなぞりそのまま下へ下へと手を這わす。


彼からの愛は私に向いているのだろうか。

ただただ独占したいだけなのでは無いのだろうか。

彼の歪んだ重い苦しい愛をこの鳥籠の中で受け止めていた私は段々と心が蝕まれていくのを感じていた。

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