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〈銀の王子と琥珀の騎士…1〉

私の名はルカヌス・フォン・ヴァレンシュタット。

このヴァレンシュタットの第二王子だ。


私は、基本的には乳母に育てられたが、幼き頃は病弱だったため、比較的王妃である母の元に居ることも多く、愛情を持って育てられていた。


私は王位継承権があるにも関わらず、病弱だったためか、王なる者としての教育を一切受けられなかった。

領主の教育は受けていたため、その頃から私は王ではなく爵位が与えられるのだと思っていた。


私にはステイルという名の兄がいる。

兄とは年子だった。

兄とは年に一度の立食パーティーの時にしか会えなかった。

その兄は王としての教育をずっと受けている。

私は兄と仲良くなりたい一心で、パーティーの際は気に入ってもらおうと毎回話しかけていた。


しかし、兄はいつも冷淡な目で私を見下ろし話などしてくれなかった。


そんな私は段々と劣等感を抱いていく。


成長していくと、体力もつき病気になることも無くなっていった。

そうすると、私も王の教育を受けたいと思うようになる。

兄ばかりずるい、何故、私には王としての教育を受けさせてはもらえないのか…と。


毎年、立食パーティーで会う兄は相変わらず冷淡な顔をし、話すらしない。


たまたま庭の隅に立ち寄ると、あの全く笑わない兄が…サヴォイア公爵令嬢に向かってとてつもない優しい笑顔で微笑んでいるのを見た。


私は衝撃を受けた。

兄にもそんな顔が出来るのか…と。


そして、そんな顔を向けられるサヴォイア公爵令嬢に対してチクッと嫉妬のようなものを感じ、それと同時に、実の弟なのに何故私にはその笑顔を向けてくれなかったのかと苛立ちを感じるようになった。


そして、私は魔術学校に入学した。

私は兄に対する期待はしないようにした。

兄とすれ違っても目を合わせることもしてくれないのだ。

…いや、期待しないように心を押さえつけていた…という方が正しいか。


魔術学校に入ってからは私の劣等感はさらに加速した。


剣術、体術、魔術…どれを取っても兄に敵うものがいないのだ。

唯一、ユリウスには剣術で負けていたが、その数ヶ月後には負けることがなくなったと聞いた。

私は…王としての器をそこに見た。

病弱だったこの肉体が健康だったならばと…何度も自らを憎んだ。


だが、私の周りにはいつもたくさんの友人たちがいた。

王族だからという理由もあるだろうが、よく笑うためか、人が集まってくるのだ。

その友人たちに囲まれることにより気に病むことも少なくなった。

唯一、そこだけが兄に誇れることだったからだ。


しかし、兄は全く気にしているそぶりはしない。

逆に、アヤナーラ嬢が入学してきてからというもの、毎日彼女に会いに行き、彼女のそばにいるのだ。

彼女以外は何もいらないとさえ思えるほど。


また私はチクッと昔に抱いた感情を思い出した。


……少しばかり、兄に痛い目にあってもらおうか。


いつしかそんな風に考えるようになっていた。


登場人物

ヴァレンシュタットの第二王子、ステイルの弟

ルカヌス・フォン・ヴァレンシュタット

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