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〈覚醒〉
真っ暗だったはずの視界にうっすら光が見えた。
重い重い瞼を開けると、そこには豪奢な天蓋、そして見慣れたはずの公爵邸の私室だったが、前世の記憶が邪魔をして私は病室じゃない?と混乱した。
そして強く強く手を握っているステイルを見た。
「…いっ…痛い…」と言いながら、手を振り解こうとするも力が入らない。
まだ起きたことに気づいていない様子のステイル。
クマが浮き出た窶れた顔、絶望と執着が混じり合ったような必死な表情のステイルがそこにいた。
「…ステイル…殿下…」と掠れた声で話しかけると弾けたように顔を見上げ「ああ、アヤナーラ嬢…目覚めてくれた…
はっ、申し訳ない、アヤナーラ嬢…手を強く握りすぎていたようだ。目覚めてくれて本当によかった。あぁ、本当によかった…。アヤナーラ嬢気分はどうだい?」と頬を撫でられた。
一瞬ステイルの表情と、最後に見た彰人が重なってしまう…
でも彰人の愛とステイルの愛は全く違った。
そんなことをつい思ってしまうと、私の血を分け与えた、だから君は名実共に私のものだと衝撃的なことを言われ、私に覆い被さり無理矢理口づけをした。
まるで愛という鎖に繋がれような感覚を覚えた。
ああ、ステイルは彰人じゃない。
と心の中で思った。




