第三章 第七話 忘れられた力
機器の音がゆっくりと、弱まっていく。
みかんの測定結果が、出たようだ。
「この機器、もうちょっとだけ改善の余地がありそうにゃ。後でメールしておくにゃ」
藤花コーポレーションの、最新型機器。
そこに改善点を見つけられる時点で、ただ事ではない。
「ありがとうね。フィードバックは、助かるわ」
舞先生も、喜んでいた。
開発側からでは分からない、弱点や盲点はどうしても発生する。
利用者の声は、大事だ。
「さて、結果発表だけれども……みんなに見せてもいい?」
「もちろんにゃ。平等がいいにゃ」
示された紙には、このように記載されていた。
ギフト:『引力』 『斥力』 睡眠学習 高度演算 技術者
ギアス:ブラックホール胃袋(馬並み) 体重増加
フェイト:紙一重
「ああ……」
驚きよりも、納得している者が多い。
「思っていた反応と、違いすぎるにゃ! 『』付きが二つもあるのに、ひどいにゃ!」
とはいえ、これは仕方ないだろう。
あまりにもこちらの「予想通り」の結果だったのだから。
「ええと……一応、解説しておくわね。『引力』と『斥力』。これはかなりレアな力だと思うわよ」
結希の『剣』と、潜在的には同レベルの力。
俺たちはまじめな態度に戻り、しっかり聞くことにした。
「理論上は……下手をすると、マイクロブラックホールに近い現象まで、扱えるかもしれない」
それは、凄まじい。
時空を歪めるほどの力など、個人が制御できる領域ではない。
もし、大型の機器なしで扱えるのならば……その力は、計り知れない。
「潜在値『測定不能』は、伊達じゃないにゃ!」
自信満々に、みかんが答える。
実際、それほどまでの力を個人が使えるのならば……戦局すら変えかねないだろう。
「睡眠学習は、眠っていても耳にしたことを『学習』できるというものね」
「だから、ずっと眠っているのにテストはいい成績だったのか。うらやましいぜ」
明が、みかんの頭をグリグリしながら述べる。
それに、みかんが反論した。
「そうでもないにゃ! トラウマになったことがあるにゃ!」
みかんによると、こんなことがあったらしい。
眠っているときに、耳元で怪談や、怖い話を次々と聞かされた経験。
結果、それが『学習』されてしまったとのことだ。
「あの時は、ちびっ……ちびりそうになったにゃ!」
「あまりにも調子に乗っていたので、少し懲らしめました」
犯人は、漣らしい。
想像すると、かなり怖い光景だ。
「高度演算は、計算能力が並外れているということね。電卓どころか、専用端末並みではないかしら?」
それは、凄まじい。
少なくとも、計算において苦労することはないだろう。
「技術者も、特性ね。専門領域とはいえ、私と同レベルに話せるというのはすごいことよ」
藤花コーポレーションで、専門知識を機体の開発に使い続けてきた舞先生。
それと同等に話せるというのは、並大抵のことではない。
「で、ギアスは……説明不要。体重、結構重いでしょう?」
「それは、言わないでほしかったにゃ。それよりも……馬扱いなのが、納得いかないにゃ。みかんは牛でも馬でもなく、猫だにゃ!」
こだわるところ、そこで良いのか? みかん。
俺たちは、彼女の食欲が馬並みと言われても、納得しかなかった。
「フェイトの紙一重……危うい行動をとる、の方かしら?」
「バカと天才は紙一重、の方じゃねえのか?」
明が、みかんをからかう。
「普通、天才が先だにゃ! 悪意を感じるにゃ!」
どうやら、自覚はあるようだ。
言動を考えると、これも納得しかない。
「さてと。これで、最後のみかんまで測定できたから、次はスキルだけれども……」
その時。
舞のスマートフォンから、アラームが鳴り響いた。
「説明は後。バグ出現の、緊急速報よ!」
俺たちは、即座に反応する。
「場所はどこだ? 移動手段は?」
「場所は、ルクルフジ支所。移動には、専用の中型車両を使うわ」
科学技術館である、ルクル。
フジにも支所があり、子供たちでにぎわっている場所だ。
「行こうぜ! 子供たちを、犠牲にするわけにはいかねえ!」
明の声に、全員が頷く。
俺たちはすぐに、出撃体制に移行した。
さて、忘れられているのは何でしょうか?
ChatGPTも、引っかかりました。




