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第三章 第三話 祝福と制約、そして宿命

 俺たちは、医療施設の奥に進んでいく。

 そして、レントゲン室のようなところで舞先生が立ち止まった。


「これが、最新鋭の測定装置よ。――ところで『ギフト』と『ギアス』について、結希くん、説明してくれる?」

「えっ?」


 結希が固まる。

 いきなり勉強に移行するとは考えていなかったようで、不意をつかれたようだ。


「ええと……ギフトは祝福、ギアスは制約を意味していて、ヒーローごとに決まっているもの、かな?」

「50点くらいね。追加情報もあるから、私から説明するわ」


 結希の回答に対する点数は、俺も納得できるものであった。

 色々と、足りなすぎる。


「まず、ギフトとギアスは『生まれつき』定められていることがほとんどなの」


 それは、知っている。

 結希の説明には、肝心のその部分が抜けていた。

 これは、大きな減点対象だろう。


「次に、大きな出来事によって『後から』負うこともある。ギアスの方が例としては多いけれども、ギフトを得た人もいるので、一概には言えないわね」


 ここまでは、既知のものだ。

 俺も恐らく、あの時にギアスが魂に刻み込まれている。


「そしてギフトは、祝福を意味する、プラスの特徴。ギアスは制約を意味する、マイナスの特徴。――そして、最新の研究によってもう一つ『フェイト』という分類が加えられたの」


 それは、初耳である。

 いったい、どんなものなのだろうか。


「フェイトは『ギフトでもあり、ギアスでもある』もの。日本語だと宿命が、該当するかしら?」


 なるほど、納得できる。

 単純にプラス、マイナスと決められないようなものが存在するのは、感覚的に理解している。

 それに対し、新しい分類を設けることで対応したようだ。


「さて、説明はこのくらいにして……誰からやる?」

「まず、俺からでいいか?」


 今回、俺は先陣を切ることにした。

 どのように評価されるのか、気になる。

 特に『フェイト』が加わったことで、入学前に受けた測定結果がどう再分類されるのかは、知りたいところだ。


「それじゃあ、中に入ってちょうだい」


 部屋の中には、椅子が設置されていた。

 そこに座り、周囲を確認する。

 さまざまなセンサーがあり、物々しい雰囲気だ。


「座っているだけでいいから。少しくらい動いても、問題ないわよ」


 舞先生の指示に従い、椅子に腰かける。

 さて、一体どんな結果になるのか。


 機器がうなりを上げて、稼働する。

 体感時間で、2~3分。

 音が小さくなり、静止したようだ。


「結果が出たけれども……う~ん。難しいわね」


 舞先生が、難しいと評する結果。

 いったい何が、記載されているのだろうか?


「プリントアウトしたから、見てちょうだい」


 俺は、渡された紙を確認してみた。

 そこには、こう記されていた。


 ギフト:早熟 美声 オラクル ????

 ギアス:認識障害 黄泉の楔

 フェイト:混沌の性質


 ギフトの早熟は、すんなり理解できる。

 人工胎盤に入っていた時から、自意識があったからだ。

 美声は、歌などに影響するのだろう。

 だが、オラクルとは?

 さらに、????という文字列に至っては、全く想像もつかない。


 そして、ギアスの認識障害も、気になる。

 黄泉の楔は、あの時に刻み込まれたものだろう。


 フェイトの、混沌の性質。

 これについては、全く分からない。


「オラクルは、神の啓示を受けられるという性質だと思う。これは見たことがあるから」


 舞先生が、説明してくれた。

 神の啓示……今までにそういった経験はないが、素質として有しているということだろう。


「????の部分は……この装置でも、解析不能ということね」


 気になる。

 とはいえ、今は調べようがないことだ。


「認識障害は……この文字を、書いてもらえる?」


 そこには、憎き「クマサカ」の名前が書かれていた。

 紙にそれを転写する。


「漢字で書かれているわね。ところで、頭の中でこの漢字が理解できるかしら?」


 クマサカ。

 言われて初めて、漢字で認識していないことに気づく。


 紙を見直す。

 確かに「クマサカ」の名前が、漢字で書かれていた。

 だが、何度漢字で認識しようとしても、頭の中で「クマサカ」と認識されてしまう。


「これ、私も恐らく受けていると思うの。地名のシズオカ表記なども、同じだと思う」


 これは、気づかなかった。

 そして、舞先生ですら逃れられていないかもしれないもの……そう考えると、怖さを感じる。


「黄泉の楔は、昔誰か、守れなかった人がいたりしたのかしら? 繊細な話題だから、答えなくてもいいわよ」

「いや、大丈夫だ。小学生の時に、バグから守れなかった人がいる」


 あの時。

 俺は、守ることができなかった。

 むしろ彼女に「守られて」しまったのだ。

 そのことが、影を落としているのだろう。


「混沌の性質は……恐らく属性などにも影響するわね。祝福の要素もあるから、悪いことだけではないと思うのだけれども、要検証よ」


 舞先生であったとしても、すべてのギフト、ギアスを知っているわけではない。

 しかも新たな性質であるフェイトであるならば、なおさらのことだ。


「さて、こんな感じね。次は誰が受けるのかしら?」


 舞先生の言葉に、反応したのは――。

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