決別(7)
(あの構えは!ダルっ!私まで・・・)
と思った瞬間、辺りが赤く染まり、
(ダメだ、終わった)
シルビは、意識が遠くなっていくのを感じた。
(何か、遠くの方から聞こえる。)
「・・・」
(何?よく聞こえない。そうか、私、やられちゃったんだ。だからよく聞こえない?何が?そうか、神様の声ね。)
「シ・・」
(神様)
「シル・、シルビ」
(?)
「シルビアーノ!シルビアーノってば」
自分の名を呼ぶ声と頬あたりをパンパンと叩かれている感触がはっきりとわかる。その声にも聞き覚えがある。 そして、目が覚めた。
「ハル⁉︎」
「やっと起きてくれたね。心配したよ。このまま目を覚さないんじゃないかって。」
「えぇっと、私、生きてる?」
「何言ってるの、もちろん。ちなみに、どこまで覚えている?」
「そう、生きてるのね。えぇっと、確か、私たち、ハルを探していて、そしたら突然ハルが目の前に現れて、気づいたら、私は動けなくなっていて、それで・・・」
シルビは思い出した。
「ハル、ダンと戦闘になって、それでダンが、って、ダンはどうしたの?」
そう問いただすシルビに、ハルが、首を横に振りながらダンの装備を渡す。
「突然獣魔が現れてね、君たちの仲間に獣魔を使役できる者がいるんでしょ?ダンて人が言ってた。どうやら、君たちもろとも、僕を始末しようとしたらしい。ダンて人は、僕と君を庇う形で、その・・・」
「そう。でも、あの攻撃は?」
「あの攻撃?何のこと?」
「えっ?」
(確かに、あれは、”炎球“だった。私たちはあれを受けたはず。なのに、ハルは・・・。もしかして私の記憶違い?)
「で、その獣魔は?」
「ダンて人と燃え尽きた。」
シルビは、渡されたダンのミスリル製の短剣を受け取った。特に何の感情も湧かなかったが、命の恩人ということはわかった。受け取った短剣を胸の前でぎゅっと握り締め、哀悼を捧げた。
(そう、それなら、“そういうこと“にしておくわ。)
「ところで、ここはどこ?ハルと遭遇した野営地ではなさそうだけど?」
「うん、少し奥まったところ。獣魔が消え去ってしばらくして、見慣れない人が現れたので、咄嗟にここに移動した。なんか、執事服の人。心当たりない?」
「執事服?多分、私たちが身を寄せている拠点の者よ。そう、彼が・・・。」
「僕がここに来たときにも、周りに何人かいたけど、その人たちも同じ?」
「えぇ、拠点の者よ。もしかして、彼らまでも・・・」
「うん、一緒に燃え尽きた。執事服の人は大丈夫だったようだけど。」
シルビは、今の状況を整理し始めた。
「僕は、一旦、屋敷に戻るけど。、君はどうする?その拠点てところに戻るの?」
「そうね・・・」
(イントリーニアならやりかねない。時間がかかりすぎたから、変に疑われたのかも。それで、私たちもろともハルを。そして、彼が首尾を確認に。)
「ねぇ、その執事服の者に私たちは見られたの?」
「ううん、僕の方が先に気づいたから、見られていないよ。」
(だとしたら、私は死んだことになっているはず。そこで姿を現したら・・・。いや、ここは戻って、正直に話すべきね。でも、ハルのことはどうする?)
「逃げられた、ということにしておけば?」
「え?」
「拠点に戻るんでしょ?その場合、僕のことをどうすれば、で迷っている。違う?」
「えぇ、まぁ。」
「それなら、逃げられたことにしておけば。それとも、僕も一緒に行こうか?その拠点とやらに。」
「な、何言ってるの?わざわざ自分を狙っているところに?意味わからないんだけど?」
「いいや、その方がいいかも。僕も、少し怒っているのでね。何か問題ある?一人生き残って、しかも僕を取り逃したとなれば、もしかしたら、始末されるのでは?」
「それは・・・」
(考えられる。いや、むしろ、それが当然だ。それならば)
とシルビが考えあぐねていると、ハルが聞いてきた。
「ところで、シルビアーノ。君は、またイントリーニアに戻るの?それとも、パンズールに残る?」




