決別(3)
次の朝。
「そういえば姉さん、いつまでいられるの?」
「ん?今日帰るわよ。」
「えぇ?今日?聞いてないわよ、フィレスちゃん。」
「うん、言ってないもの。また明日から巡礼に向けて特訓なのよねぇ。しばらく休み取れなさそうだから、帰ってきたの。ハルも来てるっていうし。」
「だ、大丈夫なの?その準備とか・・・あるでしょ?」
「そうなのよねぇ、だから、これからすぐに戻らないと。」
「だから、早く起きてきたのね。って、これから帰るの?」
“またいつものようにお昼過ぎかと思ったのに・・・“とハースはブツブツ言っていた。
「うん、ちゃんと起きられるでしょ?」
「そういう問題じゃないと思うけど・・・。」
ハルは呆れていた。
「それでね、ハル。また領都まで一緒に行ってほしんだけど?馬車の時間まであの武具店に行きたいのよね。」
「うん、いいよ。僕も武具店に用事があるからちょうどいいし。」
“やった〜“と満面の笑みを浮かべるフィレス。
「まったく、フィレスちゃん、慌しすぎよ?そういう時は無理して帰ってこなくてもいいのよ。」
「何言ってるの、ママ。全然無理してないわよ?それに、ハルのいない王都で休みあっても意味ないでしょ?」
“あなたが無理ではなくても、って言っても無駄よね。はぁ〜。“と言って、頭に手を当ててため息をつくハース。“ん?何か言った?ママ“と涼しい顔で朝食を摂るフィレス。そんな二人を苦笑いしながら見ているハル。それを優しい眼差しで見つめる使用人たち。いつものラズベール家の朝の風景。そして、当然ながら、その場にアルの姿はない。 その頃、アルは寝室で高いびきをかいて、幸せそうに爆睡している。
「ムフフフ、もう一杯〜。」
領都でフィレスを見送り、屋敷に戻るハル。しかし、そのまま屋敷には戻らず、途中で“ブライラの大樹海“に入る。隠密スキルで気配を消し、巡礼路から離れた場所を通り、第四野営地に向かう。案の定、第四野営地の近くにシルビともう一人、ダンと呼ばれていた勇者の気配があった。しばらく二人の様子を伺っていたハルは気配を消したまま二人に近づいた。
「おいおい、結局居ねぇじゃねぇか。気配すらねぇぞ?」
「ふ〜、空振りね。」
(良かったんだか、なんなんだか。全く、調子狂うわね。)
「どうすんだよ、あと残り2日だ。このまま何もできずじまいか?ほんと、始末するどころか、邪魔すらできねぇなんてな。」
「・・・」
「なぁ、なんか、ほっとしてねぇか?」
「そ、そんなことない、わよ。」
「そうか〜?前にも言ったが、オメェができねぇってんなら、俺が始末してやるぜ?門兵程度、問題ねぇ。ついでに“あっち“の方も。フィレス、だっけ?」
「だから、彼女は私たちの役目じゃないでしょ。」
その会話を聞いていたハルは、我慢できず、つい声をかけてしまった。
「どういうこと?」




