再会(2)
あれからも、何度となく“ブライラの大樹海“を調べてみたが、結局ハルを見つけることはできていない。相方のダンもいい加減嫌気がさしてきたのか、
「やっぱり、アイツは調査なんてしてねぇんじゃねぇのか?」
と言い出し、探索をサボるようになった。
しかし、シルビはどうしても気になって仕方がない。気分転換に、外を散策してみようと、本来であれば世話人を一人連れ立つ必要があったが、事情を説明して一人で屋敷の外に出てみた。何の気もなく、昔立ち寄らせてもらったハルテイラの実家方向に足が向いた。しばらく歩くと、前方から近寄る人物を捉えた。近づくにつれ、その人物のステータスが見えてきた。
(何?この異常なまでのステータス値は・・・。)
シルビは、密かに、身構えていた。その人物との距離が近づくにつれ、少しずつ手が汗ばんできたのがわかる。その人物はすれ違いざまに言葉をかけてきた。
「こんにちわ」
笑顔を湛えてそう声をかけられた。シルビもつられて
「こんにちわ」
とやはり笑顔を湛えて答えた。シルビは、自身でも驚くほど自然に答えていた。そして、すれ違いざまにその人物の顔を横目にとらえることもできた。
(ハルテイラ⁉︎)
しかし、そう感じても、何もできなかった。確かに、あの人物は、ハルテイラ・ラズベール、だ。しかし、学園を辞めて以来とはいえ、当然、あの当時と比べて成長しているとは思ってはいたが、異常とまで言えるステータス値。少し、“恐怖“を感じてしまった。すると、後ろから声がかけられた。
「あれっ?シルビアーノ、さん?」
驚いてシルビが振り返ると、その人物は戸惑いの表情を浮かべながら、立ち止まっていた。感じた“恐怖“を“コア“の奥底に沈め、自然を装って、声を出した。
「ハル、テイラ?」
「うん、やっぱりシルビアーノなんだね?」
(今の私はシルビ・ハント。でもこのことはハルテイラには知られていないから、本名でも構わないわね。)
一旦、ステータスのことは忘れて、”昔馴染み“と言うことで、腹を括った。
「やだ、びっくり。ひしぶりね。まさか、こんなところで会うなんてね。そうか、ハルテイラの家の近くよね、このあたりって。」
「うん、でもほんと、久しぶりだね。専科2年の時以来、だもんね。突然学園やめちゃうんだから。びっくりしたよ。でも、なんでこんなところに?」
「えっ?あっ、実は、今ラベンダルトの宿屋に泊まっててね、ちょっと気晴らしに歩いてきたのよ。」
「ラベンダルトの宿屋に?って、そこからここまで歩いて?ちょと気晴らしに歩く距離ではないと思うけど。と言っても、君なら、そんなに問題でもないか。」
「何?それ(笑)。まぁ、褒め言葉としてもらっておくわ。そう言うアンタこそ何してんのよ。近くって言ったって、確か、あんたの実家って、ここよりもっと向こうだったような・・・」
「まぁ、僕もちょっと気晴らし・・・にね。」
「なるほどね。」
「今、少し時間ある?」
「あるけど、何?」
「じゃぁ、ちょっといい?」
と言って、ハルは近くを流れる川の辺りにシルビアーノを誘った。
一見偶然に見える再会。
自然を装って振る舞う二人。
でも不自然な状況。
お互いがお互いを探り合う。
何のために?
自分はどうしたいのか?
そこに、答えはあるのか?
そんな二人が川辺に降りるところを、少し離れた場所で見ていた者がいた。
「ハル⁉︎(喜) って、誰よ、あの女‼︎(怒)」




