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門兵ですが、そこそこできます  作者: 勢崎カスリ


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暗躍(4)

 今から10日前。

 「父さん、今日神聖国の勇者が来るんだよね?」

 「あぁ、これから、その“勇者様“のお出迎えだ。」

 「なら、僕も行っていい?」

 「あぁ、構わないけど。」

 「念の為、誤魔化すけど。」

 「誤魔化す?」

 「うん、勇者に変に勘ぐられると、父さんたちに迷惑をかけるでしょ?だから、幻術で顔を変えておこうと思って。」

 「まぁ、そんなに気にしなくてもいいんだが、そうしたいなら。」

 「うん、ありがとう。」


 「お待ちしておりました、神聖国イントリーニア勇者御一行様。私は、この地を管理しております、パンズール王国ラベンドアール辺境伯領防衛卿:アルテイラ・ラズベールと申します。この者たちは私の配下のものです。」

 そう言って、父アルテイラが紹介した配下の最後尾にハルはいた。

 (あの女性勇者、シルビアーノに顔だちがそっくりだけど、シルビ・ハントって言うんだ。名前も何となく似ているけど、まさかシルビアーノ本人?確か、途中で学園をやめたんだよね。ちょっと気になるなぁ。)

 ハルは幻術で顔立ちを変えており、自身のステータスも“偽装スキル“で変えているので、もし、シルビアーノであったとしても、ハルがいる、と言うことは気づかれない。

 (それと、もう一人の勇者。この間の王会の時に隠れていた人、だね。)

 なぜ、神聖国の勇者が、隠密スキルを使ってまでして王会の場にいたのか。

 (さて、明日からは、この人たちのことも、色々と調査しなくちゃ。)


 そして、現在。アレスタ第二王女の密偵として巡礼路周辺の調査に乗り出して10日以上が経っている。その間の成果としては、巡礼路の周辺に不自然な獣魔道らしき道を発見していた。

 最初に調査したのは、ハイスパイダルに襲撃された第四野営地周辺。そこでその獣魔道を見つけた。その獣魔道は、直接巡礼路につながっているわけでもなく、巡礼路からも離れてはいるものの、巡礼路を見下ろせる高い木からさらに奥に向かっていた。そして、その獣魔道は、一見すると、単に草木の茂っているようにしか見えず、到底道には見えない。それなりのスキルを持ってしても、“道“と気づくのは難しい。それくらい高度に誤魔化されていた。しかし、高位の隠密スキルさえも看破できる“アンチインビジブル“を持つハルには、それを“道“と認識できていた。この誤魔化しであれば、たとえアキたちであっても、気づけない。それほど巧妙に誤魔化されていた。そして、その獣魔道を辿ると、神聖国の屋敷の裏手にたどり着いた。そのため、神聖国から勇者が“ブライラの大樹海の調査“と言う名目で来訪すると聞いて、その勇者を見定めるため、同行を願い入れたのだが、それが功を奏した。

 まずハルは、不審な獣魔道の発見と王会にいた不審者が神聖国の勇者だったことから、あの不自然な獣魔襲撃に神聖国が絡んでいるのでは?と神聖国を疑うようになった。そして、その後の調査でも、神聖国の屋敷裏に通じる不審な獣魔道を何本か見つけたことで、疑いが確信に変わった。さらに、来訪しているその勇者に、見知った顔もあったことからハルは、その勇者の動向をも探るようにした。それが、インビジブルに“同化“を掛け合わせての調査。その結果、彼らに自分の存在を知られることなく、彼らを調べることができた。そして、彼ら勇者が、なぜか自分を探っていることを知る。なぜ自分が探られているのか。その理由を知った時、ハルはある決断をする。

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