暗躍(3)
「ったく、あの門兵は、どこをどう調査してやがんだ?全く見つからねぇ。」
「そう簡単にはいかないことくらい、わかってたことでしょ?だから1ヶ月あるんじゃない。」
拠点の屋敷に来てから10日が経過した。屋敷の裏庭からは“ブライラの大樹海“に入り、大樹ブラパの近くまで通じる“隠れ路“が伸びている。この“隠れ路“は、神聖国イントリーニアが整備している大樹ブラパへの巡路と距離を置いてはいるが、ほぼ並行している。しかも、ところどころから、パンズール王国が整備している巡礼路に近づくこともできる。このことは、当然、パンズール王国には知られていない。
(それにしてもこの10日間、姿は愚か、痕跡すら見当たらない。本当にどこを調査しているの?というか、そもそも調査なんてしていない?まさか、こちらの動きに勘づかれた?)
シルビもダンも、隠密スキル:インビジブルを使って気配を消している。とはいえ、一日中使えるわけではないため、時折、巡路に出ては、姿を現している。そもそも、“調査“と言う名目でこの地に来ているので、それなりに調査の痕跡を残しておく必要はあるのだが。
「チッ。今日も無駄足か。そろそろ帰るぞ。」
「えぇ。」
シルビとダンは、適当に“調査痕跡“を残して、拠点の屋敷に戻った。
シルビは、これまで追跡が不発だった理由を拠点に戻りながら考えていた。それは、部屋に戻ってから、ベッドに横たわっても続いていた。
(もしかして、あの時の配下の中にいた?それで怪しまれた?いいえ、あの中に見覚えのある“顔“はなかった。それに私の“鑑定“では、大したステータスの者もいなかった。ハルテイラのステータスは当時のだけど覚えている。今では、少なくても当時よりは上がっているはず。でもあの中には、当時のハルテイラのステータスより上の者、いいえ匹敵する者さえいなかった。)
大きく息を吐くシルビ。
(考えてもムダね。わからないものはわからないんだから。)
「あ〜ん、もう。なんか、調子狂うわね。」
頭を掻きむしりながら起き上がり、
「うん、スッキリしよう。」
と言って、湯浴みに向かった。




