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門兵ですが、そこそこできます  作者: 勢崎カスリ


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暗躍(1)

 「なぁ、相手は門兵だってな。」

 「えぇ。」

 「上の連中は、門兵程度に何をビビってんだか。」

 「何でも、以前間者を看破したとか。それに、ハイスパイダルも屠ったそうよ、その門兵。」

 「へ〜、そうかい。それなら、少しは楽しめそうだな。」

 「何、る気になっているの。」

 「いいじゃぁねぇか、何が起きたって構わねぇって話だろ?」

 「そうだけど・・・。」

 「なんだ、あまり乗り気じゃねぇみてぇだな?」

 「そういうわけじゃないけど。」

 「まぁ、いいさ。それならそれで、この俺様が片をつけてやるってもんさ。」

 パンズール王国へ向かう馬車の中で、“ハル監視“の任を受けた2人の勇者。馬車には、他にも2人の世話人が8人。馬車は王都ではなく、別の方角に向かっていた。


 (まさか、こんな形で再会することになるとは、ね。)


 「そういえば、俺たちが向かうのは、王都じゃねぇんだってな。」

 「えぇ、確か、ラベンダルト。ラベンドアール辺境伯領の領都よ。」

 「チッ、田舎、かよ。つまんねぇなぁ。さっさと済まして、王都に繰り出すとすっかね。」


 (何?コイツ。遊び気分でいるの?)


 「気を引き締めていかないと、痛い目、みるわよ?ダン。」

 「なんだ、お前まで、ビビってんのか?あっそうか。確か、学園時代の同級か、その門兵。もしかして、惚れてたのか?シルビ。」

 ダンと呼ばれた男が軽口を叩く。

 「そうじゃないけど。あのハイスパイダルを屠っているのよ?私たちだって、ハイスパイダルには苦労したじゃない。」

 シルビと呼ばれた女勇者が無表情で答える。

 「たまたま、だろ?それとも、何か?俺たち、いや、この俺様が負ける、とでも?」

 「そういうことでは。」

 「安心しろ、同級でやりづれぇ、ってんなら、マジで、この俺様が一人でチャチャっと片付けてやる。」


 (コイツ、ダメだ。“たまたま“でハイスパイダルは屠れない。たとえそれが“幼体“であったとしても。最悪、こいつは見捨てる。ハルテイラのことだ、ことと次第によっては。でもまぁ、確かにやりづらいわね。)


 馬車は、王都に入ることはしないで、直接ラベンダルトへ向かった。手荷物には、神聖国イントリーニアの神聖協会からラベンドアール辺境伯へ宛てた紹介状がある。もちろん、そこには、パンズール王国女王の名も連名で記されている。今回は、先のモンスター騒動における神聖国なりの“調査“という名目になる。先のモンスター騒動は、大陸に存在するすべての国家に共有されている。もちろん、“巡礼の儀“に関する一連の件も。

 “ブライラの大樹海“、特に“大樹ブラパ“は、パンズール王国だけではなく、神聖国イントリーニアにとっても、特別な意味を持つ。そのため、大樹ブラパまでの独自ルートを持っている。ただし、神聖国イントリーニアは隣接していないため、隣接しているパンズール王国内の敷地を買い取り、拠点とする屋敷を建てている。敷地を買い取る際、パンズール王国との間に協定を結んでいるため、その屋敷に易く滞在できるわけではない。

 屋敷に滞在できるのは、長くて3ヶ月、人員は、身の回りの世話人を含めて最大50名まで。滞在者全員の身分を明確にして、パンズール王国に報告する。ただし、屋敷はもちろん敷地内と巡路は治外法権として、パンズール王国民はもちろん、貴族や王家も招待なしに入ることは許されない。


 馬車が、領都ラベンダルトに到着した。

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