警戒
王会が終わった後。
王会では、特に結論が出たわけではなく、とりあえず「情報収集・整理」と言う位置付けで、散会となった。
「とりあえず、ご苦労様でした、ハル。そして、ゼノンさん。」
「いいえ。」
「あの、ロッドウェル先生?」
「なんでしょう。」
「あの人は誰だったんですか?」
「あの人?あの人とは?」
「えっと、2階の右の柱あたりにいた方です。気配は消されていたみたいですが。特に変な気、“殺気“のようなものはありませんでしたが。」
「ほぅ、そんな人がいたのですね。気づきませんでした。教師失格ですね。」
「いいえ、そう言うわけでは・・・。」
「ハル様、私めも気づきませんでしたが、その者は一人でしたか?他にもいましたか?」
「気づいたのは一人。他に気配はなかったですね。」
「そう、すごいわね、ハルちゃんは。私たちだと、“殺気“のような明らかな敵意がないと気づけないから、助かるわね。そういえば、以前にも、同じように間者を見つけたものね。で、どうする?ロッドウェルちゃん。」
「“殺気“のようなものはなかった、ということですが、一応、このことは上に報告しておきましょう。嫌な予感がします。」
「ハイマシー公爵にも?」
「ですね、ここで話を通さないわけにはいかないでしょう。」
「そうねぇ、変に相手に勘付かれてもよくないし。」
「あの〜、どう言うことでしょうか?」
「まさか、今回の件、ハイマシー公爵が一枚絡んでいる、と?」
ゼノンが確認する。
「はい。ただ、公爵が直接かどうかはわかりませんが、少なくてもその下のものが絡んでることは明白です。」
以前ハルが捕縛した間者から、フィオレッティの魅了で、数名の貴族名を聞き出していたが、その貴族がどうやら、ハイマシー公爵の寄子だったようだ。ハルは、ことの重大さを今初めて気付かされた。
「ハル、ゼノンさん、どうかこのことはご内密に、他言無用でお願いします。」
「とはいえ、ロッドウェルちゃん。ハースちゃんあたりなら、いいでしょ?多分、気づかれるわよ?あの娘、この手のことは、妙に勘がいいから。」
「まぁ、そうですね、ゼノンさんもいますし、彼女やアルさん、君のご家族関係者ならいいでしょう。でもくれぐれも漏れることがないようにお願いします。ことは、王国全体に関わる問題ですから。」
「わかりました。」
「信用いただき、ありがとうございます。」
ゼノンが一礼する。
「いいのよん、仲間なんだから。ね?ロッドウェルちゃん。」
「・・・」
ロッドウェルはブスッとした表情でヒューズラントを睨みつけるだけだった。
「そういえば、ハルちゃん。第二王女殿下からお呼びがかかってるわよ。3時に来てって。あらやだ、もうこんな時間。急いで行ってらっしゃいな。」
「えぇ?お呼びって。ほんとだ、ヤバイ。行ってきます。」
「行ってらしゃ〜い。」
ハルは、急いで、第二王女:アレスタ王女のいる王女宮へ向かった。




