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門兵ですが、そこそこできます  作者: 勢崎カスリ


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それぞれのその時(2)

 (何かしら。緊急招集だなんて。)

  

 「集まったな。先ほど、ラベンダルトより、“前巡礼“から救援砲が発せられたことによる救援要請を受けた。よって、すぐに、ブライラの大樹海に向かう。大至急準備しろ!」

 (え?“前巡礼“からの救援要請?どういうこと?ハル、大丈夫?何があったの?)

  

 急遽、師団員が招集され、救援準備に入り、1時間とかからずに、各自で馬を駆り王都を出発した。途中密かに念話をハルに飛ばすフィレス。だが、繋がらない。何度も念話を飛ばすが、それでも繋がらない。流石に焦り出すフィレス。

 「師団長、一体何が起きたのですか?」

 思わず、師団長に問い詰める。

 「すまんな、フィレスワット、私にも状況は掴めておらん。今、ラベンダルト領兵団に確認中だが、領兵団も掴めてないらしい。どうやら、“前巡礼“との念話が阻害されているようだ。確か、弟がいるんだよな?気持ちは分からんでもないが、焦るな。今は、何もできん。」

 「は、はい。申し訳ありません。」

 念話が阻害されている、と聞いて、少しホッとしたフィレス。ハルに何かがあって、念話ができない、ということではない可能性がある、ということだけでも、フィレスを落ち着かせるには十分だった。

 (そうよ、ハルなら大丈夫よ。信じるのよ、フィレス。)

 自分に言い聞かせる。

 もう少しでラベンダルトに到着すると言う時、連続して救援砲が上がり、一行は、一旦その場に止まった。

 (え?今度は何?)

 「救援砲が連続2発?」

 「救援砲が連続2発って、緊急事態、ってことだよな?」

 「あぁ、確かそうだ。」

 「何が起こったんだ?」

 (緊急事態?って、何よ。何が起こっているの?ハル!)

 「落ち着け、みんな。確かに、今のは緊急事態を知らせるものだ。だが、今の我々にはどうすることもできん。現地につき次第、速やかに大樹海に入る。とにかく急ぐぞ。」

 「はい!」

 (ハル、お願い。無事でいて!)

  

 ようやく師団員がラベンダルトに到着した。

 「遅くなりました、師団兵20名、ただいま到着しました。直ちに、大樹海に入ります。」

 「ありがとうございます。領兵団20名、すでに、救護用馬車とともに大樹海に入っております。」

 「承知しました。で、目指すは?」

 「帰路側から、大樹:ブラパ。」

 「承知しました。師団員、帰路側より、大樹:ブラパを目指す。出立!」

 師団員は馬に回復魔法を施してもらい、すぐに出発した。その中にある、フィレスの姿を遠巻きに見守るハース。

 (フィレスちゃん、ハル君をお願い。)

 フィレスもまた、そんなハースの姿を横目に捉える。

 (ママ、ハルは必ず私が助けるから。)

  

 師団員20名は領門を抜けて、樹海に入る。

 (すごい、樹海の中だけど、道が整備されていて、馬越しだけど走りやすい。これが、“前巡礼“なの?)

 2時間ほどで野営地に到着する。が、先行隊の領兵団が残した暗号を確認し、馬に回復ポーションを与えただけで、碌に休むことなく、次の野営地に向けて出立した。

  

 あたりが暗闇に包まれる頃、ハルたちがベースとしている野営地に到着した。

 「遅くなりました。師団兵20名、ただいま到着いたしました。」

 「ありがとうございます。お待ちしておりました。」

 「怪我人は?」

 「はい、6名になります。うち1名は、ハイスパイダルの毒にやられており、動けない状態です。ただ、応急処置により、命に別状はありません。他5名も骨折等はありますが、幸いいずれも腕のため、自力歩行は可能です。」

 「ハイスパイダル?そんなものが出たのですか?」

 「はい、この地にて急襲された形です。」

 「それにしては、こんなことを言うのは失礼かと思いますが、よく、この程度で済みましたな?」

 「はい、本当にそう思います。奇跡に近いことです。あの者のおかげです。」

 と言って、グフタスは、ハルを指さした。

 「あの者は?」

 「ハルテイラ・ラズベールと言います。」

 「そうですか。彼が・・・。改めて、状況を教えてください。」

 「はい、では、こちらへ。すでに領兵団長とゼノン様がお待ちです。」

 「ゼノン?って、あのゼノンワルド元術連長ですか?」

 「はい。領兵団とは別に救援に来ていただいております。」

 「そうでしたか。急ぎましょう。」

 「はい。」

 先着していた領兵団が怪我人を介抱しており処置はほぼ終わっていた。今は日も落ちているため、夕食の炊き出しを行なっている。

 その中に、その人がいた。暗がりではあったが、灯りの近くにいたため、確かにその人であることがわかった。そして、こちらに気付き、腰のあたりで拳を握り、力強く頷いてくれた。

 (よかった、ハル。無事で。)

 師団兵は、野営地周辺の警戒にあたり、獣魔やモンスターの追襲撃に備えたが、その危険はないと判断し、野営地に戻った。

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