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門兵ですが、そこそこできます  作者: 勢崎カスリ


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過酷な“前巡礼“(9)

 「では、みなさん、よろしくお願いしますね。」

 そう言い残してハルは、結界から飛び出ると同時に、自身の足に風の生活魔法を纏わせ、痩身剣には闇と雷の属性を付与した。そして地面に着地すると同時に、両の足を肩幅に広げ、右足を前、左足を後ろの半身で抜刀の構えをとる。両膝を折ったその姿勢は、額が地面につきそうになるくらい低い。

 ハイスパイダルが光の攻撃魔法を目に受け、驚きとも怒りとも取れる奇声を上げたその瞬間。ハルが、何かを呟いて、ハイスパイダルに斬りかかった。

 「三山・新陰流・奥義:天空斬」

 (みやま・しんかげりゅう・おうぎ:てんくうざん)

 ハルは、一瞬でハイスパイダルの真下に入り、かと思った瞬間、地面を蹴って天空に向けて飛び跳ねた。その際に痩身剣を抜刀し、切り上げた。鞘から抜かれた痩身剣には、闇と雷が纏わりついていて、抜刀と同時にやいばの如く放たれた闇と雷を纏った空気の波動が、ハイスパイダルに向かった。ハルの体がハイスパイダルより高く空に浮かんだ時、ハイスパイダルの体は、確かに真っ二つに斬り分かれた。その時。

 「今です!」

 ハルが叫んだ。

 その言葉を合図に、術師たちが、火の攻撃魔法を断面に向けて一斉に放つ。そして、フィオレッティともう一人の術師が、火の攻撃魔法に、それぞれ闇の攻撃魔法をぶつける。火と闇の攻撃魔法が重なる形でハイスパイダルの斬られた断面に命中した。すると、なんと、ハイスパイダルの血液と思しき液体を燃料とするが如く、炎を上げ、断面が燃え出した。その間、断面には、闇と雷がまとわりついていて、術師の闇攻撃が加わったことで、おそらくは、再生を拒んでいるようで、断面が蠢いているのが見てとれた。

 さらに風魔法により炎が煽られ、ハイスパイダルの体全体を炎が包み込んだ。しばらく燃えた後、炎は消えていった。残ったのは、ハイスパイダルの外殻と魔属石で、外殻の中は空洞になっていた。肉も含めて、中身全てを燃やし尽くしたようだ。


 「やったのか?」

 「燃え尽きたみたいだな。」

 「ハルテイラ・ラズベール!状況は?」

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