過酷な“前巡礼“(8)
グフタスたちは、結界の中で、ハイスパイダルからの執拗な攻撃に耐え忍んでいた。その状況を目の当たりし、ハルを除く5名は驚愕した。
「早く結界の中に入りましょう。」
そう言って、ハルは5名に支援魔法を施し、結界の中に入った。
「すみません、遅くなりました。なんとか、間に合いましたね。」
「おぅ、ハルか。で、これからどうすれば良いのだ?そろそろこの結界も限界だぞ。」
「とりあえず、アイツを倒しますので、みなさん、力を貸してください。」
「何?倒す、だと?文献では、弱体化させ、逃げ切る、と言うことだったようだが。本気か?」
「はい。まずは、僕が、アイツに斬り込みます。そして、僕が合図しますので、火の方は、なんでもいいので、とにかく僕が斬った断面に火属性の攻撃魔法をぶつけてください。その時、闇持ちの方は、火の攻撃魔法に、同じく、なんでもいいので、闇の攻撃魔法を上乗せする感じでぶつけてください。」
「はぁ?闇攻撃を火の攻撃に上乗せだぁ?」
「はい、とりあえず、ここは僕を信じて、やってください。再生を抑えつつ断面が燃えますので。あの足を見てください。おそらくは、ミゼルさんが闇魔法を与えたのでしょう。再生が阻害されています。断面を火魔法で燃やしつつ、闇魔法で再生を阻害します。そこに、風のある方は、風魔法で、アイツの体全体が燃えるようにその炎を煽ってください。他の属性の方は、何でも良いので、攻撃魔法をぶつけて、再生に向かわないようにアイツの気をそらしてください。」
ハルの説明に一同は頷き、そして腹を括った。
「僕は、一旦この結界を出ます。僕が、出たと同時に、光の方は、アイツの目に向けて、光の攻撃魔法を、これもなんでもいいので、ぶつけてください。」
「火も闇も、風も光も本当になんでもいいんだな?」
「はい、攻撃魔法であれば、本当になんでもいいです。」
「で、お前はどうするんだ?ハル。」
「僕は、アイツを真っ二つに斬ります。」
「はぁ?そんなことがって、なんか、お前ならやれそうな気がしてきたわ。」
フィオレッティが半ば呆れ顔で天を仰ぐ。
「わかった。なら、我々も結界の外に出るぞ。」
「あ、それなら、大丈夫です。」
「ん?どういうことだ?」
「まさか、ハル。結界の中からでも攻撃できると?」
天を仰いでいたフィオレッティが、その状態でハルに聞き返す。
「はい。」
と言って、ハルは何かを口ずさみ、結界の内側に向けて魔法をぶつけた。
「今、結界の内側から攻撃できるようにしました。試しに、アイツに向かって、何か攻撃してもらえますか?」
「んじゃぁ、俺が。」
と言って、フィオレッティが、“闇槍“を放つと、結界を通り抜けて、威力も変わらずに、ハイスパイダルに命中した。ハイスパイダルは呻き声を上げ、効果ありであることが証明された。
「なんでもありかよ、ったく。」
「なので、みなさんは、結界の中からお願いします。流石に、斬るには出ないといけないので、僕は出ます。では、みなさん、よろしくお願いしますね。」
と言って、ハルは結界の外に飛び出した。
「なんなんだ?アイツは。」
「さぁ?」
「ん〜。と、とりあえず、やるぞ。」
と言いながら、ハイスパイダルの目に向けて、光の攻撃魔法である“聖球“をグフタスが放つ。光属性を持つ他の術師も“聖槍“などの光の攻撃魔法を放つ。それ以外の属性持ちの術師たちは、ハルからの合図を待った。




