過酷な“前巡礼“(6)
グフタスは、ミゼルの状態を確認し、一緒にミゼルの解毒を施したグランダに後のことを託し、テントの外に出た。顔色がまだ青白いのが気にはなったが。
すでに外は、わずかに白み始めていた。他の術師の状態を確認しつつ、この場をベースと決め、大樹“ブラパ“に残してきた3名の迎えにハルとフィオレッテイを指名した。
大樹“ブラパ“へと向かう道すがら。
「ハル、ありがとうな。」
「はい?」
「いや、“センパイ(ミゼル)“を助けてくれてさ。」
「やっぱり、知り合いだったんですね?ミゼルさんと。」
「まぁ、いろいろ世話になってな、あの人には。」
「そうですか。でも、僕もほぼ“賭け“だったんです。文献にも、助かる確率はほぼないに等しい、って。」
「えぇ?まじか?」
「内緒ですよ。だから、そういう意味では、ミゼルさんの生命力っていうか、すごいですね、あの人。」
「いや、まぁ、確かに“センパイ“はすげぇけど、それを信じてやり遂げるお前さんも、大概にすごいと思うわ。」
「まぁ、“ほぼない“とあっても、やり方が書かれているっていうことは、“可能性はある“ってことですから、ね。あの文献を残してくれた人を信じたまで、です。」
「そういうところだよ、お前のすごいところは。たぶん、誰もそんなふうには考えんだろうよ。」
ハルに優しい笑顔が浮かんだ。
それを見たフィオレッティもまた、優しい笑顔を浮かべていた。
「お〜い、大丈夫かぁ〜。」
「あぁ、なんとかこっちの2人は回復したぜ。そっちは?」
「あぁ、こっちもなんとかなった。向こうの野営地をベースにするってさ。動けるか?」
「あぁ、大丈夫だ。それより、フィオレッティ、ミゼル班長は?」
「なんとかなったぜ。コイツのおかげだ。」
と言って、ハルを指差す。
「そうか、よかった。えぇっと・・・。」
「コイツは“ハル“、だ。俺の自慢の後輩、さ。」
「そうか、ハル。ありがとう。」
「いいえ、ミゼルさんの頑張りと、グフタス班長やグランダさんの助力があったおかげです。」
「そうか、そうか。よかった、よかった。」
(ミゼルさん、あんなだけど、センパイといい、よっぽどみんなから慕われているんだな。すごいな。)
とにかく、大樹“ブラパ“の周りに展開していたテントなど全てを撤収して、不要な痕跡も消し去って、帰路側の野営地に向かった。
ハルとフィオレッティを送り出したと同時に、救援砲を空に打ち上げるグフタス。
(とりあえず、今回の“前巡礼“はここで引き上げだ。いろいろ確認せねば。ったく、何が何だか。)




