過酷な“前巡礼“(4)
獣魔による思わぬ襲撃の後、さらに2回、獣魔(ワーウルフ4体、ハチ系ワーム(キラービー)の大群)との対峙があったものの、なんとか退けることはできた。とはいえ、こちら側にも少なからずのダメージ(怪我人)を負った。治癒魔法でなんとか回復できてはいるものの、作業は遅れていた。本来であれば14日程度で済むところが、ラベンダルトを出発してから、16日で、大樹“ブラパ“が聳え立つ神地に到着した。
「やっと着いたか。」
「はい。」
「これが、大樹“ブラパ“、か。でけぇ。」
「想像より遙かに大きくて、立派な樹、ですね。」
「あぁ、なんとも・・・」
フィオレッティは、まるで小さな子供が英雄を見るような“無垢な憧憬“を纏った瞳でその大樹を見上げていた。
「珍しいですね。」
「ん?何がだ。」
フィオレッティは、視線はそのままで反応する。
「センパイのそういう雰囲気、というか・・・。」
「まぁ、夢にまで見ていた“大樹様“なんでな。実際に、こうして間近で見ると、言葉を失っちまう。」
「“大樹様“ですか。そうですね。大きいとか立派とか、そんな言葉では足らないですね。」
ハルは、改めて、大樹“ブラパ“を根元から見えない樹の先端まで見上げた。
「もう少しで、2班も到着するだろうから、それまで、少し休憩しよう。」
班長がそう声をかけ、大樹“ブラパ“から少し離れた場所に陣を構え、休憩に入った。
「班長、これまでの行程は、計画的にはどうなんですか?」
誰かが、質問した。
「あぁ、計画的には、2日ほど遅れているが、大きな問題じゃない。」
他のものが続いた。
「俺たちが2日遅れ、っていうことは、もう一方の班も同じような遅れ、ってことですかね?」
「そうだな、本当であれば、2班の方が先に到着している予定だったから、向こうはもっと遅れていることになるな。」
「へぇ、そうすると、俺たちよりももっと予定外のことがあったんですかねぇ。」
「たぶんな、合流したら、その辺の共有も必要だな。」
「ホント、あのゴブリンとホブゴブリンには参ったもんなぁ。」
「まったくだ。あんなのが、この巡礼路付近にいるとはなぁ。」
「どういうことですか?」
ハルが口を挟む。
「あぁ、そもそもホブゴブリンなんざ、このブライラの“こっち側“に生息しているなんて聞いたことがねぇくらいだ。」
「えぇ?それじゃぁ、“大発見“じゃないですか?」
「だな。もしかしたら、2班の方も、そんな感じかもなぁ。」
(イヤイヤ、お前ら、そんな呑気な話じゃぁねぇんだよ。“大発見“じゃなく“大問題“なんだよ、コレは。)
班長であるグフタスは、心の中でそう愚痴っていた。
ハルたち1班が到着して、数時間が経過し、そろそろ日が沈みかけようとした頃、ようやく2班が到着した。しかし、その姿を見て、ハルたちは愕然とした。
「どうしたお前ら!」




