束の間の休息(4)
「どうしたの?眠れない?」
「かあさん。」
「以前にもあったわよね。みんなして食事した後、ハル君一人で、デッキから夜空を見上げていたこと。」
「そうだったね。あの時は、学園に入学して最初の長期休暇で、“明日王都に戻る“っていう時、だったね。」
「そう。で、あの時おかあさんと約束してくれたこと、今もちゃんと、守ってくれている。ありがとう、ハル君。」
「ううん、まだまだ、だよ。まだまだ全然、助けてあげられていない。ちょっと、悔しいんだけど。」
「そんなことない、と思うわよ。だって、ハル君、王都に残ってくれたじゃない。それって、いつでもフィレスちゃんに会える、ってことでしょ?そ・れ・に、“念話“。フィレスちゃんからもできるようにしてあげたんでしょ?まぁ、回数や時間制限はあるらしいけど。それだって、フィレスちゃんの身を案じて、のことでしょ?」
「うん、よくわからないけど、“そうするべき“って、直感というかなんというか。」
「それよ、そ〜れ。そういうところが、ちゃんと“助けている“っていうのよ。何も、目に見えることだけじゃないのよ。だから、そんなに、思い詰めないの、いい?」
「うん、わかった。かあさん、ありがとう。僕は、ほんと、幸せ者だね。」
「うふふふ、何、年寄りみたいなこと言ってるの。それをいうなら、おかあさんのほうよ。ほんとに二人が“巡礼“に同行できるなんてね。ちっちゃかった頃、よくパパやゼノンたちと“夢ねぇ“なんて話していたことが、実現しちゃったんだから。」
「そんな話、してたの?初めて聞いた。」
「それはそうよ、“夢“なんて、そうそう人に語るものではないわよ。叶ってからよ。それより、これからよ、大変なのは。特に“前巡礼“は。今まで以上に、気を引き締めてね。」
「うん、ゼノ爺からも言われた。獣魔たちも怖いけど、一番経過すべきは。」
「そう、“人“よ。外部もそうだけど、一番厄介なのは、内部。」
「うん、わかっている。最終的には、自分自身の“目“と“判断“だけを信じる。そのために、もっともっと“知識“と“それを使いこなせる力“を身につけなくちゃ、ね。」
「そうそう、その意気よ。私たちは、あなたのその“目“と“判断“、“力“、“結果“を全面的に支持するから。だから、安心して、思う存分、やってきなさい。」
「うん、かあさん、ありがとう。」
そう言って、ハルは、久しぶりに母の胸に顔を埋めた。母は、優しく、頭を撫でた。
「ハル〜?、ハル〜いるの〜?」




