束の間の休息(3)
「どう?ハル君、何か掴めたかしら?」
「うん、イズ姉やゼノ爺のおかげで、疑問は晴れたよ。やっぱり、すごいね、うちの使用人さんたちは。」
「でしょ?自慢の使用人なんだから。」
「恐れ入ります、奥様、ハル様。」
「で、どんな経緯で、ハルが“前巡礼“なんかに?」
アキの淹れてくれたお茶を嗜みながら、フィレスが聞いてきた。
「うん、それがね。」
ハルは、ことの経緯を、包み隠さず、順序立てて、全てをフィレスに話して聞かせた。
「えぇ、じゃぁ、ハルって、最初から“術連“のメンバーで、しかも“特別メンバー“だったってこと?」
「うん、そうなるんだよね。」
「うわぁ、噂では聞いてたけど、まさか術連の“特別メンバー“が本当に存在するとは。しかも、それが、身内にいるなんて、びっくりもいいとこよ。」
「でね、フィレスちゃん、そのびっくりついでに、なんだけど。」
「何、ママ。」
と言って、今度は、ハースが、自身とゼノン、アキ、ヒロ、イズも元“術連“のメンバーで、アキ、ヒロ、イズの3人はその“特別メンバー“だったこと、そして、ハース、ゼノンに至っては上層部員だったことを、話した。さらに、フィレスも指導を受けたロッドウェルとヒューズラントは、ハースと王立学園の同級で、この二人は、今なお“術連“の上層部員であることを、おなじく、包み隠さずに話した。
「ふわ〜、何この屋敷の人たちって。」
「でしょ?僕も昨日聞かされて、思わず“コワ“って思ったもん。姉さんの今の気持ち、よくわかるよ。」
「ありがとう、ハルと気持ちの共有ができてよかったわ。ほんと、心臓に悪いわよ。」
「うふふふ、ママ、褒めてもらえて嬉しいわ。」
「褒めてはいないわよ?でも、すごいとは思う。」
「あら、やっぱり、褒めてくれているじゃない。」
「もぅ、ママには敵わないわ。」
「そういえば、父さんは?昨日もいなかったよね?」
「う〜ん、パパはね、その“巡礼“の関係で、今領都に詰めているのよね。ほら、ここが出発地と帰着地になるじゃない。今から、その準備に入るのよね。だから、しばらくは帰って来れないんじゃないかしらねぇ。」
「そうだったんだ、とうさんも大変なんだね。かあさんも“巡礼“で何かあったりするの?」
「私?そうねぇ、すぐにってわけではないけど、そのうちにね。私だけではなくて、ゼノンやアキたちも、駆り出されると思うわ。」
「へ〜、そうなると、我が家は全員、“巡礼“に関わることになるのね?」
「改めて、我が家って、すごいんだね。」
「そうねぇ、屋敷にいる全員が“巡礼“に関わるのって、王国内でも、我が家だけ、かしらねぇ。」
「恐るべし、ラズベール家ってわけね。」
「そうかもしれませんね、フィレス様。ただ、これはとても、誇らしいことなのです。」
「そうです。しかも、私たち使用人にまで、そのような大切なお役目をいただけて、身に余る光栄です。」
「感謝に絶えません。」
そう言って、ゼノンはじめ、アキ、ヒロ、イズが、深々と頭を下げた。
「ゼノン、アキ、ヒロ、イズ。頭を上げなさい。感謝するのは、こちらの方ですよ。あなた方のおかげで、フィレスもハルもここまでの人物になり得たのですから。」
「奥様。」
「そうよ、みんなのおかげで、結構私、師団の中でも一目置かれているんだから。シゴかれたもんね、ゼノン。」
「いやいや、これは手厳しい。でも、フィレス様の努力の賜物です。」
「僕もだよ、何かあれば、すぐ聞こうって、頼っちゃうし。教えてもらったことは、全部役に立っている。ほんとありがたい。」
「もったいないお言葉です、ハル様。」
ゼノン以下、ハルに向かって深く一礼をする。そして、アキが尋ねる。
「そういえば、ハル様。先日不審な間者を遅番時に仕留めた、と伺っていますが?」
「えぇ?アキ姉、知ってたの?」
「元“術連:特別メンバー“の情報網を侮ってはいけませんよ、ハル様?大概のことは私どもの耳に入ってきますので。」
とヒロに言われた。イズもウンウン、と頷いていた。
「いや〜、やっぱり、怖いわ〜、この屋敷の人たちって。」
皆楽しそうに笑い合って、その他の話でも大いに盛り上がった。
(やっぱり、この家の人たちって、最高だね。でも、いないんだよね、こういう時にとうさんって。)




