がんばります!(2)
「よう、坊主、元気か?」
「なんでマスターが、ここに?ってまさか、マスター?」
ハルがロッドウェルを見ると、”ニヤッ“とらしくない笑みを浮かべて言った。
「そうですよ、ハル。彼、エレファルドも実は、術連の上層部の者です。」
「あの〜、今更なんですが、先生たちも?」
今度は、ヒューズラントが満面の笑みを浮かべて言った。
「そうよ〜、何を隠そう、私たちが、ハルちゃんを推薦したんだから。まぁ、フィオは別だけど。」
フィオレッティは、“フンッ!“と言って、ソッポを向いていた。
「あぁ〜。」
ハルは目を抑えて、天を仰いだ。
「コワイだろ?この人たち。」
と言って、フィオレッティは苦笑いを浮かべながら肩を竦めていた。
「改めて、ハル。君は、正式な術連のメンバー、それも特別メンバーです。そのことはよく肝に銘じておいてください。ただし、このことは口外しないように。たとえ、家族であっても、です。」
「はい、わかりました。ちなみに、“前巡礼“のことは?」
「それは構いませんよ。そもそも、どういう人が“前巡礼“に選ばれたのかなんてわかりませんから。ただ単に、“お気の毒にねぇ“としか思われませんし。でも、もしかしたら、ハルのご両親や使用人の方は気づかれるかもしれませんね。まぁ、気づく人は、事情を知っている人ですから、察してくれますよ。」
「僕の父や母のこと、ご存知なのですか?」
「えぇ、まぁ、色々と、ね。」
「もちろん、“悪い意味“ではないのよ。変な誤解しないでちょうだいね。」
「わかりました。先生たちのこと、聞くことなかったので。」
「それは、ねぇ、こういうある意味“裏“のことだから。仕方ないわよ。だから、ハルちゃんもご両親や使用人さんたちのこと、悪く思わないでちょうだいね。むしろ、距離が近づくと思うわよ、今回のことで。」
「そうですね、“前巡礼“の件、話しておきます。」
「だからよ、坊主、これからも、うちの店に来た時は、今まで通りで、な?」
「わかりました。がんばります。」
「たまには、裏の部屋にも案内すっからよ。」
「裏の部屋?」
「あぁ、溜まり場なんだよ、このおっさんたちの。」
とフィオレッティが教えてくれた。
「やぁ〜ねぇ、フィオ、おっさんだなんて。」
「センパイも案内されたことが?」
「あぁ、何度かな。ハルのことを聞いたのも、その部屋だったし。」
「溜まり場って、何してるんですか?」
「そりゃ、オメェ、なぁ。」
「来てからのお・た・の・し・みって、ね?」
「はぁ〜。」
「とりあえず、そういうことなので、ハル。これからも、よろしくお願いしますね。」
「あの〜、門兵は続けられるのでしょうか?」
「はい、これまで通り、門兵は続けてください。むしろ、こちらとしても、続けてほしいと思っています。」
「それなら、よかったです。僕、門兵の仕事が好きなので。では、色々と、お話いただきありがとうございました。全て、了解しました。僕なりにがんばります。よろしくお願いします。」
とりあえず、ハルは腹を括った。術連の特別メンバーとして、より一層、門兵の仕事を頑張ろう、と。そして、この国を、王都を、大切な家族を守ろうと。
翌日。再集合したメンバーが2班に分けられた。ハルとフィオレッティは同じ班になったが、ミゼルは、別の班で、班長を務めることになった。
(さすがミゼルさん。ここでも班長を務めるんだ。)
そして、これから“前巡礼“の1つ目の作業が終わるまで、休暇はないため、ひとまず、6日間の休暇が与えられた。ハルはそれを利用して、ラズベールの屋敷(実家)に帰ることにした。
急であったため、フィレスには、帰ることだけを念話で伝えた。




