近況報告
武具店を出た後、しばらく、他の店を見て回り昼まで時間を潰した。そして、昼になり、行きつけの“カンミ“という店に向かった。最近、時間限定で、“らんち“と呼ばれるメニューができたと聞いて、その時間まで待っていたのだった。
「ねぇ、ハル、“らんち“って、こんなにあるよ?なんか、どれもお得よ。」
「ほんとだ。あっ、姉さん、これ見てよ。ちょっと少ないけど、“ベリミル“もついてるよ。」
「ほんとだぁ。あっ、どれにもつくんだね。うわぁ、どれにしようかな。」
「こんなにあると、迷っちゃうね。」
「う〜ん、ハル、どれにする?」
「そうだねぇ、僕は、これ(アゲムネ)にしよっかな。」
「えっ?何これ。食べたことあるの?」
「ううん、ない。普段のよりお得だったから。ちょっとコワイけど、とり肉の何かだとは思うので。まぁ、大丈夫でしょう。」
「勇気あるのよね、そういうところは。じゃぁ、私は、やっぱりいつものやつ(バーング)の“らんち“バージョンにするわ。」
「わかった、すみませ〜ん。」
「は〜い。あらっ、久しぶりねぇ、二人とも。」
「こんにちわ。奥さん。」
「こんにちわ。えぇっと、これと、これをお願いします。」
「はいよ。ちょっと待っててね。」
料理がくるまで、改めて、お互いの近況を報告し合った。
フィレスは、師団での訓練状況や休日の過ごし方、ハルは、門兵での出来事や、やはり休日の過ごし方など。
「それでね、ハルも知っていると思うけど、近々、巡礼があるでしょ?」
「うん、聞いている。アレスタさん、いよいよ巡礼に行くんだね。」
「そう、“あの“アレスタが、ねぇ。信じられないけど。」
「それは失礼でしょ。」
「いやいや、あの頃のアレスタを知る身としては、そういう感想になるわよ?」
「まぁ、そうかもしれないけど。それで?その巡礼がどうかしたの?」
「うん、実は、私もその巡礼に同行することになったの。で、そのメンバーの集まりが先日あったのよね。」
「巡礼に同行?それって、すごいことだよ。とうさんやかあさん、ゼノ爺たちも大喜びするよ。」
「うん、すごく喜んでくれた。私も頑張らないとね。」
「うん、これまで以上に、だね。巡礼では、何があるかわからない、って話だもんね。」
「そうなのよね。そのために、実際にアレスタが向かう巡礼、これを“本巡礼“って言うんだけど、その“本巡礼“の前準備として“前巡礼“と言うのがあるらしいのよね。」
「前巡礼?」
「そう、“前巡礼“って、“本巡礼“の道中の安全確保のため、巡礼路の整備やら、野営地の整備やら、で結構大変な作業らしいのよね。時には、獣魔と対峙することもあるって話で。かなり“過酷“って聞いてるわ。期間もほぼ1ヵ月かかるらしいし。」
「へぇ〜、それは大変だね。ちなみに本巡礼の期間はどれくらいなの?」
「“本巡礼“は確か、月の半分くらいって聞いてるわ。」
「それでも月の半分はかかるんだねぇ。姉さん、大変だろうけど、頑張って、アレスタさんをしっかり護衛しないと、だね。」
「うん、頑張るね。そういえば、その集まりの時に術連の人も何人かいたわよ?」
「術連の人も?そうなんだ。でも、門兵の僕には関係のないことだよね。まぁ、出発の時は門を通るだろうから、関係なくもないか。」
「そうね、もし、その時、ハルが当番だったら、ちゃんと見送りしてね。」
「うん、わかった。無事を祈りつつ見送ることにするよ。」
「うん。それでね、術連の人たち、その時は全員ではなかったみたいで、追加招集があるって言ってたわね。特に、その“前巡礼“のために、って。」
「へ〜、そうなんだ。それじゃぁ、追加招集された人、気の毒だね。」
「そうよねぇ〜。」
と二人が話していると、注文していた料理が運ばれてきた。
「わぁ〜、美味しそう、さぁ、食べよ?」
「うん、いただきま〜す。」
ベリミル:正式名「ベリー・ミルク」。いわゆる、“いちごミルク“のこと。いちごとミルクは別々に運ばれてくる。いちごは丸ごと5個入っている。“へた“をとった後にミルクをかけて食べる。通はそのいちごを潰して食す。フィレスは、さらにハチミツを混ぜて、甘くするのがお気に入り。ちなみに、らんちの場合、いちごは2個になる。他に、他の果物が入った“ベリミル・スペシャル“もある。
アゲムネ:鶏のムネ肉を焼いたもの。皮の部分はカリッとしていて、身の部分はジューシー。甘だれが絡みついていて、美味。これ以降、ハルはハマった。フィレスも、ハルから少し分けてもらい、ハマった。
バーング:いわゆる、“ハンバーグ“のこと。




