021 夕食前の寄り道
「わぁ〜!レンガいっぱい~!」
俺の先を歩くリリィが楽しそうに声を上げる。
この街はカッツォリ地方都市部リューネのブリックで、石畳と街が全体的にレンガの建物で屋根が朱色なのが特徴だ。
今はブリックのマーケット街に来ており、午後11時前だというのに多くの店に明かりが灯っており、人通りも多い。
こんな時間にリリィを連れ出してもいいか悩んだが、馬車も含めて結構寝たらしいから、まぁ、今回は大目に見てやろう。
「あんまり走るなって…まだ腹減ってないか?」
「うーん…さっきは減ってたけど…今は少し観光したいかなぁ」
「なるほど。シュリアス、お前はいいか?」
隣を歩くシュリアスに尋ねてみる。
「私は構わんよ」
「了解。見たいのあったら言えよ」
「はぁい」
そう言いながら、リリィはパタパタと俺の方に駆け寄って来て、右手で俺の手を握る。
そして、「シュリアスも」と言い空いた左手でシュリアスの手も握った。
「む、私もか?」
「家族だからね~」
「なるほど」
この二人ホント仲いいのな。
リリィが俺と遊べないときにはシュリアスにまかせっきりになっているから、そのせいだろう。
「あっ、あのお店行きたい!」
そう言ってリリィが指差したのは、俺たちの右手に見える小さな木造の店だ。
レンガだらけのこの町では、かなりの異質さを放っている。
しかし、それは気色の悪いわけではなく、どこか落ち着く雰囲気だった。
看板には…Wooden furniture
と、筆記で書かれている。
どうやら、木の家具屋らしい。
「んじゃ、入ってみるか…」
店内は一応明かりは点いているが、もう時間も時間なので一応扉に『open』の札が掛けられているのを確認する。
小さな木の扉を押し開き店内へ入る。
店内は意外と狭いので、他の客の迷惑にならないように手をつないで歩くのはやめた。
そんなことよりだ…
「いいにおい~」
俺が言うより先にリリィが反応している。
「だな。木の香りってやつか」
木とか詳しくないので何の木の香りかとかは分からんが、俺はこの香り嫌いじゃない。
「これは…ブックラックか…」
シュリアスが見ていたのは、赤めの色の木材で作られているブックラックだった。
こいつ暇なときは基本読書してるか寝てるかだからな…ほしいのだろうか。
「よいな…」
シュリアスは目を細め細々とつぶやいた、
お前ホント読書好きだな。
俺もなんか見てみようか…
辺りを見回すと目に入ったのは机から椅子などの基本家具から、なんかよく分からないものまで置かれている。
にしても…ほんとになんかいいなぁ…
俺はそんなに金は使わないほうだが、それでもこの木の家具には何か魅力を感じてしまう。
単に木と言っても、黒い木から白い木、橙色の木まである。
それらの木が、特に奇抜でもないシンプルなデザインなのだがそこがいい。
この置時計とか本当に欲しい…
と、そこでやけに辺りが静かなことに気づく。
リリィがいないのだ。
「ん?」
と、思ったがよく耳を澄ませば店奥から、何を言っているかは分からないが、リリィの声が聞こえた。
タンスに当たらないように、少し気をつけて歩き、俺も声のほうへ向かう。
「おねがいしまぁす!」
リリィが視界に入り、声を掛けようとしたらリリィは店の店主と思われる白エプロン姿の男にぺこりと頭を下げていた。そして踵を返し、俺を見つけたからかパタパタと駆け寄ってきた。
「なんかしたのか?」
「ちょっとね~」
そう言ってにひっ、と悪戯っぽく笑ってみせる。どうやら内容はナイショらしい。
「どうだ?そろそろ飯行くか?」
そんなに長くいたわけじゃないが、店が少々狭いせいもあるし、俺はもう十分だ。
「私はもう満足だよ!」
「んじゃ行くか」
まだブックラックを買うか買わないか悶々と悩んでいたシュリアスを呼び店を後にする。
「なぁシュリアス…おまえブックラック買わなくてよかったのか?」
「あぁ。よくよく考えれば本棚はまだ開いているしな。埋まってからまた考えればよかろう」
「ふぅ~ん」
再び3人で手をつなぎ、夕食へと歩を進めだした。
遅れて申し訳ありません!!
言い訳は……(この間2分ほど)
…ないですね。
次回もよろしくお願いします!




