002 名前は
「ほわぁ...」
顔を真っ赤にしクリッとした大きな目をさらに見開き息を荒くしながら王女様は俺の容姿を一望すると声を上げた。
「さすがです!やっぱりハル様はどんな服でもお似合いですね!!ばっちぐーです!!」
今は俺たちの式の衣装を決めているところだ。
王女様は子供らしくキャッキャと次はこれだのと次々と衣装を持ってくる。
かれこれ1時間は経っただろう。うむ、子供はこうでなくちゃ。
「私、ハル様と結婚できて幸せです...」
俺も彼女の事は嫌いじゃない。
でも好きかと聞かれれば、これは愛でる意味での好きだと思う。
妹を可愛がっているような感じだ。いくら可愛くても相手が12歳じゃなぁ...周囲の目が痛い。
「ん?ちょっと待て。王女様の名前って何なんですか?」
俺はこの娘と会って3日たったが未だに名前を聞いてなかったことに気が付いた。
「え?ああ!本当です!すみません申し遅れました。私はウィーグル大陸国第62代目女王となります。リリシア・フィ・ウィーグルといいます。どうぞ好きに呼んでください。」
さすが王族。これは俺の偏見かもしれないが名前が長い。
それに「リリシア」と呼ぶにしてもなんか硬いしなぁ…
リリシアか...それじゃあ
「リリシア...リリィなんてどうです?」
彼女は顔をパッと明るくすると
「分かりました。宜しくお願いしますハル様!」
いくら夫とはいえここまで身分の違う人に、いきなりあだ名は失礼かと思ったが、なんとか気に入ってもらえたようだ。
「あとそれの事ですが、私の事はハルでいいですよ。もう結婚するんですしいつまでも他人行儀ってのも距離が縮まりませんしね。」
というか、俺だけリリィは流石につらいというか、なんかくるものがる。
「へ...そ、それでは...ハ、ハル?」
「なんですか、リリィ。」
リリィはうれしそうに微笑むと次は反対に一つルールを提示してきた。
「ではハル。私からもですが敬語をやめませんか?」
「それは身分的にやめたほうが良いですよ。リリィはもうこの大陸のトップなんですし...」
というか俺が耐えられない。
「大丈夫ですよ!だって私たち...ふうふですからっ!」
リリィは俺の腰に抱き着いて言った。
それを言われると、少し弱い。
俺はリリィの顔の高さまで身を屈めて。
「分かった。んじゃ今度はリリィの衣装を決めるか!」
「はい!」
俺はこの無邪気な笑顔も含めて彼女を愛するのに時間はかからない気がした。
一気にハルの言動が変わってますが、敬語以外だと冒険時代の話し方しかできないからです。本当です。後々気づいたとかじゃないです(2017年10月9日)




