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001 結婚相手は12歳

王都ウィーグルはウィーグル大陸の中央東部に在する。

一年を通して四季のはっきりしたこの大陸は、果物や水資源に非常に恵まれており、あらゆるものを自給で賄えるほどの財や資源があることから、他大陸から『自給大陸』なんて呼ばれることもある。


王都の北部、池のほとりに建っている王城―ウィーグル城

そんな城の一室、客室に声が響く。


「そこで俺は言ってやったわけですよ『俺に討伐されるか、今後俺の下僕として生きるか』ってね」


自慢げに語る俺は傍から見れば普通にうざい奴にしか見えないだろう。

しかし、相手の地位が地位ということもあり、俺も淡々と続ける。


「そしたらシュr…皇帝の奴なんて言ったと思います?まさかの『私の事は一生犬とお呼びください』って言いやがったんですよ。なァにが暴虐の魔界皇帝シュリアスですかね?www」


俺の説明を黙って聞いていたこの大陸の最高権力者である王女様(12歳)はキラキラと大きな藍色の目を輝かせ机に身を乗り出すと興味津々と言わんばかりに質問を投げてくる。


「では、ハル様は現在皇帝を配下として従えたというわけですね?今はどこに居られるのでしょうか?牢にでも閉じ込めてるんでしょうか?」


その質問を待っていた。

思わず口元が緩みそうになるが、何とかそれを踏み留め続ける。


「ご冗談を、先ほどから我々のお茶汲みをさせているではありませんか」


なるべく平然を装い口にしたものの、彼女の反応が楽しみすぎてすぐには直視できない。


シュリアスを討伐(使役)した俺は実家に帰った際、父母方に同様のことをしたのだが、二人とも即倒した(父は泡吹いた)。


深呼吸をし、王女様のほうへ目を向けると彼女はシュリアスの立っている後方に体ごと向け、わなわなと肩を震わせていた。

後姿しか見えないのでよく分からないが、恐らく彼女の目元には大粒の涙が浮かんでいるのだろう。さすがに王女様にはやりすぎたかな…?


「…か」


か細い声を振り絞るように発せられた声には力は無く、震えていた。別にいたずらをして喜ぶ年齢でもないが…成功だ。さぁ叫べ。


「…っか…かっこいいです!」


「…へ?」


彼女の口から放たれた言葉は予想と大きくかけ離れており、思わず気の抜けた声をこぼしてしまった。


次の瞬間、王女様はこちらに体を向け、立ち上がると興奮気味に


「すごいですっ!さすがですっ!!」


王女様は飛び跳ねながら、恐らく遺伝であろう肩ほどまでの白銀色の髪を揺らした。


「もし、ハル様以外の勇者でしたら皇帝を討伐していたことでしょう!それなのにまさかその皇帝までもを助けてしまうなんて…!!やっぱりハル様は男です!!勇者です!!」


一応男だし、勇者なんだけどなと突っ込みたくなるが、そういい残し急にしんと静まった彼女に違和感を覚える。

「どうかされました?」と一応声を掛けてみようと声を出そうとしたがそれより先に彼女の方が口を開いた。


「お願いです。ハル様、私と結婚してください」


結婚。


幼少期から皇帝を討伐することしか考えていなかったし、学校なんて男子しかいない戦闘の訓練学校にいた事もあり、これまで結婚なんて考える機会も無かった。


しかし、皇帝は倒されてしまった(使役)


言い方は盛るが、俺は生きる目的を失ったわけだ。

よく言えば早くも自由(17歳)悪く言えば老後生活スタート(17歳)


どうしたものかなァ...ってそうじゃない。ちょっと待て。


「お、王女様。不躾なことを聞きますが、俺に耳が正しければ結婚という単語が聞こえた気がするのですが」


何とか冷静を保ちつつ、微笑みながら問うと

王女様は先ほどと何ら変わりない顔で答えた。


「ええ。言いましたよ」


危ねェ...これでケーコン(アイテムブランド)のアイテムを見せてくださいとかだったら、今頃俺の首飛んでただろ...


いやいや。まて速まるな。

相手はまだ俺と決まったわけではない。


と、そこでさらに王女様は話しを続けてくる。


「それに年齢ならもう心配はありません!先週に12歳になったばかりなのでもう嫁入りできる年齢です!」


そうでした。

そういえば俺が17なのに対して、うちの母親もまだ20代後半なのだ。

断る理由がないのは分かっている。しかし、俺はなぜかこの話しの抜け道を必死に模索するのだ。


「いやいや。嫁入りと言われましても俺、家ありませんよ?」


「ではうちに婿入りしてください!」


「結婚したら俺王子ってことですけど仕事できませんよ?」


「すべて城の者がやってくれます。私だってやってませんし出来ません!」


(おい)


「んー...」(悩む俺)


「むー...」(頬を膨らませる王女様)


俺の必死の弁解も無慈悲にネタ切れ。

先程よりさらに身を乗り出した王女様はジーッと俺を見つめてくる。

この娘本気か...


「...分かりました」


渋々というわけではないが、俺も観念する。

これ以上の抵抗が無駄というのもあるが、今後の事を考えるとここで結婚しておいて損はないだろう。

まぁなんだかんだこの娘は顔立ちは整ってるからな(12歳)

今は別にそういった感情はないが、今後な。


とまぁ、婚約したわけだがよくよく考えてみたら、王女様と結婚ということは俺は王様になるわけで、少しは退屈凌ぎになりそうでうれしかったりする。

しかし、この王女様をこれから満足させられるか少々不安があったりもする。

なにはともあれ、忙しくなりそうだ。

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