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019 旅路にて

俺たち3人と御者を乗せた馬車は予定通りに、カッツォリ地方へ向けて走り出していた。

エルザさんと王女様直下部隊(軽くファンクラブ状態)に見送られ城を出発し、1時間ほどが経過した。


あまり目立ちたくないと言う俺の要望を聞いてくれたのか、エルザさんは比較的シンプルな馬車を用意してくれた。外見は。

しかし内部は、多少は狭いものの机ソファなどといろいろなものがそろっている。壁も綺麗な壁紙が張られており、床も絨毯が敷かれている。

たぶんエルザさんの魔法なのか、なぜか揺れを感じない。衰えないっすね…


道のりは大体8時間ほどかかるらしい。

走り始めて15分くらいはリリィもあれはこれはと目を輝かせていたが、もう馬車に飽きたらしい。


リリィは先ほど自身の膨れた荷物からボードゲームを取り出し、俺に挑んできた。

先日、王国最強を名乗っていたリリィの腕前はどれほどなのか気にはなっていたが、お世辞にも強いとは思えなかった。

たぶん城の人に挑んでは、城の人も相手が王女様ともなれば勝てなかったのだろう。


俺も、リリィに悪質な手を打つと「むー」などとすべてが顔に出るリリィを楽しんでは、全戦負けてあげていた。

リリィは本気でやってほしいのだろうが、もし勝ってしまったら後々めんどくさそうだ。

てかシュリアスはどんだけ弱いんだよ。しっかりしろ魔界軍。そんなんだから俺に悪戯しても返り討ちにもあうんだ。


当のシュリアスは、城を出てから10分で馬車酔いにより馬車の前方のほうで寝込んでいる。ほんとよえぇ…


「ほら、ハルの番だよ!」


言われて、盤上に目を戻し適当に駒を動かすとまたしてもリリィが「あうー」などというので思わず笑みがこぼれてしまう。


「なぁリリィ。カッツォリ地方着いたら行きたい所あるか?」


誇れることではないが、この旅行は行き当たりばったりだ。

仮にも王族がこれでいいのかと思うが、エルザさんも最初は俺にいろんな観光ルートを提示してきたが、正直そういうの守れる気がしないというか、自由に動きたいのでエルザさんには悪いが断らせてもらった。


「わたし?わたしは…んー…おいしいものたべたい!」


おいしいものか…「ちょい待ち」と言いリリィに借りたショルダーバッグから観光マップを取り出す。

パラパラと適当にページを開き、『グルメスポット』のページを開く。


「えーと…」


リリィも駒を置いて、俺の後ろへと回り込んで俺の背中に体を持たれかけさせるように乗っかってくる。


「んー…あっ!このケーキ食べてみたい!」


はしゃいだ様子で雑誌を指差しながらリリィはぴょんぴょん跳ねている。


「こらこら危ない危ない。えーっと…何々?主街区の…オリヴェの店…了解!着いたらまずそこに向かうか…」


「わぁい!」


リリィは喜んだ様子でまたぴょんぴょん跳ねるわけでこれまた俺も「危ない危ない」と注意するも俺も少し楽しみだ。

再度雑誌に目を通してみる。


カッツォリ地方名産のクヴァの実をふんだんに使った特製ケーキ!

お求めは主街区南方のオリヴェの店まで!テイクアウトも可!


ほほう…クヴァの実とな…


クヴァの実とは、果実がイガイガの棘で被われている割とウィーグル大陸全土で有名な食用の実だ。

そういえば、発祥はカッツォリ地方だったなぁ…


「あぁ。でも到着は夜近くになりそうだから行くのはやっぱり明日だなァ」


「えー…まぁ行ければいいやっ!」


寝床探しやら何やらでこれからやることは多いが、何とかなるだろう。


道のりは長い。


http://ncode.syosetu.com/n5783dp/ 

にて、Kudryavkaさんとざっちさんとの合作リレー小説を投稿させてもらっています。


文章自体は書いたのが初期だったこともあり、拙くはありますがそこはご愛嬌ということで、そちらのほうもよろしくお願いします!!

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