014 やくそく
朝食を終え、部屋に戻る。
部屋に入ったと同時にリリィはこちらにくるりと振り返り
「今日は何して遊ぼうか?」
といつも通り俺に聞いてくる。
いつもなら「そうだなぁ…」とか言いながらかれこれ一時間以上悩むが、今日はそうはいかない。
昨日、約束をしていたシュリアスと目で一瞬合図を送りあい
(たのんだぞ)(まかせろ)と目で言い合う。おい親指立てんなバレルだろ。
「すまん。今日はちょっと忙しくてな。シュリアスと遊んでてやってくんねぇか?あいつもいつも暇だって言ってたし。なぁシュリアス!」
なるべく自然な笑顔で、リリィの目線に合わせて言ってやる。
何か言いたげだったが、彼女には悪いがすぐに会話をシュリアスに振ってもらう。
「さぁ!来い!リリシアよぉぉぉ!!」
シュリアスはそう言って、両手を大きく広げている。それってリリィが必然的に抱きつくことになるだろ。やめろ俺の妻だ。
リリィの目を見ながら、「リリィは俺のこと好きだろ?」と聞いたらリリィは何も言わずこくりとうなずくが、自分で言っといて恥ずかしくなる。
「だからさ、お願いできるか?シュリアスと遊んでやってくれ。」
リリィも少し恥ずかしかったのか、少し顔を赤らめながら
「つぎのごはんの時、やさい食べてくれたら…」
「それは食べなさい。」
「あうー…」
まったくこの娘は…でも簡単なことなら聞いてやろうか。
「じゃ、じゃあ今日の夜はいつもより長くお話してくれる?」
俺もまぁその位ならと、「リリィが起きていられたらな」と頭を撫でてやる。
むふーと気持ちよさそうに鼻を鳴らすとリリィは
「わかった!シュリアスとあそぶ!」
と俺から離れ、シュリアスの方へと駆けていった。よし抱きついてない。いい娘だ…
それから、適当に服を部屋着からある程度恥ずかしくない服に変えたりと準備を済ませる。
ふと、リリィのほうに目をやると中央の机でシュリアスとボードゲームをしていた。シュリアスが「魔界最強のテーブルの魔術師の力を見せてやろぅ…」というと、リリィも対抗して「たいりくさいきょー」と胸を張っていた。おい、シュリアスなんかお前の体から闇のオーラみたいなのでてるぞ。
邪魔はできまい、と大きな音は立てずにひっそりと部屋を出る。
廊下に出て静かに扉をしめて軽くふぅーっと息を吐く。
「…行くか」
誰に言ったわけでもなく、少し空しさの残る中一人廊下を歩き出す。
まずは…エルザさんに相談するか。




