第2巻 第24章 — 七つ目の破片
良い一日を!
第2巻 第24章 — 七つ目の破片
甲府の朝は静かだった。太陽がまだ屋根の上に昇り始めたばかりで、街は焼きたてのパンと露に濡れた草の匂いがした。遠くで始発の電車が轟いた。通りの角にコーヒーの自動販売機が立っていた——ヨシヒロは硬貨を入れて冷たいコーヒーの缶を取った。「饅頭」の屋台のそばには、まだ点いていないネオンの看板があった。一日は始まったばかりだった。
ヨシヒロ——すみません。饅頭を二つお願いします。
店主——すぐにできますよ!
10分後。
店主——はい、お待ちどうさまです。
ヨシヒロ——ありがとうございます。良い一日を!
笑顔でヨシヒロは言った。彼は楽しんでいた。穏やかな日。まるで昔のように。
店主——あなたも良い一日を!
(店主の思考)——『いい子だ。』
(ヨシヒロの思考)——『いい日だ。穏やかだ。まるで昔のように。母さんは俺がやってることを誇りに思うだろうか?それとも、俺が殺されるかもしれない破片を探して街を走り回るんじゃなく、家に帰ってくることを望むだろうか?おそらく後者だ。ごめん、母さん。戻るよ。約束する。これが全部終わったら。』
ヨシヒロ——よし。俺の頼もしいナビはあっちの家を指してる。まるでくそったれの探偵だな。
ここら辺のはずだ。
ヨシヒロは饅頭を食べ、真っ直ぐ前を見た。通りは空っぽだった。風だけがアスファルトの上の埃を運んでいた。ヘッドホンをつけた自転車乗りが通り過ぎた。遠くでラジオが流れていた。そして彼はそれを見た。
ヨシヒロ——ここで何をしてる?
震える声でヨシヒロは言った。前回の戦いで貫かれた胸郭を思い出しながら。彼はまたここにいる。そして今度は逃げない。
彼はオロチを見た。恐ろしい姿勢で立っていた。彫像のように動かなかった。そして笑っていた。腕にはリボンが光った。首には護符。ベビーカーを押した女性が通り過ぎた。彼女はこちらを見もしなかった。まるで見えていないかのように。
オロチ——また会えて嬉しいぞ、ヨシヒロ・ヤマダ。
ヨシヒロ——ここで何をしてるか聞いてるんだ。
怒りを込めてヨシヒロは聞いた。
オロチ——何って?お前と同じく、破片を探しに来たんだ。
嘲笑いながらオロチは答えた。
オロチ——それに、なぜそんなに怒る?お互い友好的に行くべきだ。
両腕を広げて、オロチは言った。
ヨシヒロ——本気か?前回、お前は俺を殺しかけた。
オロチ——だから今度も殺す。
わずかミリ秒で、オロチは踏み込んだ。彼の周囲の空気が軋んだ。
(オロチの思考)——『ただ頭蓋骨を粉砕してやる。』
ヨシヒロは反応し、攻撃をかわした。
オロチ——何だって?!だが、どうやって?!
(オロチの思考)——『不可能だ。彼はかわせなかったはずだ。俺は彼が見えるはずのない速度で動いた。反応などできるはずがない。彼に何があった?これは訓練じゃない。何か別のものだ。彼の中の何か。破片?いや、破片はまだ彼のものではない。では何だ?何を隠している、ヨシヒロ・ヤマダ?』
(ヨシヒロの思考)——『できた。間に合った。本当に間に合った。どうやって?間に合うはずがなかった。俺はそんなに速くない。だが……間に合った。これはアドレナリンか?恐怖か?それとも何か別のものか?関係ない。とにかく俺は生きている。そして彼は驚いている。これだけでも勝利だ。小さな、だが勝利だ。』
オロチ——同じ質問だ:どうやって?!
オロチは叫び、腕を広げた。
突然、彼は狂った速度で飛び出した。
そしてヨシヒロとオロチは肉弾戦で激突した。打撃が空っぽの通りに木霊した。遠くでサイレンが鳴った——だが誰も来なかった。
経験不足のため、ヨシヒロはかなりの数の打撃を食らった。
オロチは胴体を打ち、ヨシヒロは肺から空気が押し出されるのを感じながら曲がった。一瞬、死ぬかと思った。
(ヨシヒロの思考)——『くそ。動きが洗練されすぎている。能力を使わないと、終わりだ。』
オロチ——お前は経験不足だ。
真剣な顔でオロチは言い、次の打撃を加えた。
オロチが次の打撃のためにヨシヒロに近づいた瞬間、彼は片手の動きでオロチを上に持ち上げた。
(オロチの思考)——『こいつの能力は風か?』
突然、オロチの周囲に高電圧のワイヤーが蔓のように巻きついた。それらは火花を散らした。ヨシヒロがもう片方を引っ張ると、オロチは時速1789キロで飛び出した。
引っ張りはあまりに急で、ヨシヒロの腕は痺れた。だが彼はワイヤーを離さず、エネルギーを流し込んだ。
ワイヤーが切れないよう、ヨシヒロはそれらにエネルギーを満たした。
その飛行の結果、オロチは体で多くの建物を突き破った。埃と瓦礫が通りに飛び散った。どこかで車の警報が鳴った。
ヨシヒロはその瞬間を逃さなかった。だからすぐに攻撃に出た。
オロチが止まった途端、ヨシヒロはすでにエネルギーを満たした拳で彼に襲いかかっていた。
オロチ——悪くない、ヨシヒロ・ヤマダ!
その言葉の後、ヨシヒロはオロチの顔面に直接打撃を放った。
打撃で吹き飛ぶか気を失うかする代わりに、オロチはヨシヒロの腕を掴み、胸郭に打撃を加えた。
ヨシヒロの口から血の噴水が吹き出した。
オロチ——戦いで周囲の物を使う相手が好きだ。そこにはすぐに戦術的な戦い方の作法が見える。
ヨシヒロ——喋るな。
かすれた声でヨシヒロは言い、顎に強力な打撃を受けた。
オロチ——お前は俺に指図できる立場じゃない。
ヨシヒロは激しい痛みに顔を歪めた。
オロチは彼の髪を掴み、地面から持ち上げた。遠くでサイレンが鳴った。だが誰も来なかった。人々は見ていなかった。あるいは見たくなかった。
オロチ——で、どうするつもりだ?お前はもう瀕死の状態だ。
嘲笑いながらオロチは言った。
オロチが止めの拳を振りかぶった。その時、ヨシヒロの頭にノリの声が浮かんだ。
(ヨシヒロの思考)——『そういえば、ノリが体をエネルギーで強化することについて何か言ってたな。』
---
回想:
ノリ——戦いにおける主要な切り札の一つは強化だ。
ヨシヒロ——強化って、どうやるんだ?
ノリ——隠蔽者が戦いで致命的な傷を受けた時、強化を使う。正確には、自分の体の細胞すべてを存在エネルギーで満たす。それによって体を強化する。
ヨシヒロ——そんなこともできるのか。
驚いてヨシヒロは言った。
ノリ——ああ。だが最も重要なのは比率だ。
ヨシヒロ——エネルギーの注入は比率で分けられるのか?
ノリ——ああ。だが体が耐えられる以上に少しでも多くエネルギーを注げば、お前はすぐに粉々になって風に運ばれる。
ヨシヒロ——すげえ。
ノリ——だからこそ、常に流れの制御の訓練に真剣に取り組むことが重要なんだ。
ヨシヒロはこの瞬間を覚えた。だが流れの制御の訓練にいつも来ていたわけではなかった。彼は少なくとも聞いていたことを嬉しく思った。
---
オロチはヨシヒロの顔面に打撃を加えた。だが彼は微動だにしなかった。まるで壁を殴ったかのように。
オロチ——で、どうするつもりだ?さあ。考えろ。考えろ。
大声でオロチは言った。
(オロチの思考)——『どうやって?彼は瀕死の状態だった。どうやって動いている?』
突然、ヨシヒロはオロチの背後に現れた。風が止んだ。通りが凍りついた。サイレンすら、止まったかのようだった。
山田義弘の覚醒




