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【完結保証】カードゲーマーは運命に抗う  作者: まとかな


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4/13

2-2 禁止制限の重要性/ヒロインとゲテモノの黄金比

【カードゲーム[スターバトラー]のルール!】

・モンスターは下級・中級・上級の3種類あるよ!

 下級は無条件で毎ターン1体出せるよ!

 中級上級は出すのに一手間かかるよ!

・下級は出たターン攻撃できないよ!

・戦闘で同級は相打ちになるよ!

 格下には一方的に殴り勝てるよ!

・初期ライフは5つだよ!

 モンスターに殴られてライフが0になると死ぬよ!

──◇────◇────◇──

[天真爛漫競泳ガール]青葉ウミ

【ディープアイ】

 Life◇◇◇◇◇ hand5

 ──VS──

[モヒカンアルバイト]三井サトル

【レックスジャンプ(改良中)】

 Life◇◇◇◇◇ hand5

──◇────◇────◇──


──[turn1.三井サトル]──




「じゃあ俺の先行だぜェ……っと」


 引いたカードはサーチモンスター[先頭狼]。

 下級獣から中級上級と進化させるデッキ【レックスジャンプ】においては重要な、場に残る獣種のモンスター。

 最初のドロー含めて手札は6枚。ここ数日でも最高の引きであった。成程運命とやらが干渉していると嫌でも思い知らされる。


(この戦いに報酬は無ェ。運命は……少なくともマイナスには働かなくて、持ち前の運命力が反映されるって事だよなァ。

 だとすりゃ青葉ウミさんの手札が良いのは当然だが、俺の手札にまで運命が干渉してるって事かァ?)


 五稜ソウマ店長との一戦では、手札の減るサーチカードを多用した結果手札が足りなくなって妨害手段が無くなった。今回は当時のものよりサーチカードを少なめにして、それなりに多種多様な防御妨害カードを積んだ(入れた)構築になっている。

 ……が、それにしたって手札が良い。既にキーパーツである[改造手術][孤高のダイナ-レックス][タイムマシン]が揃っている最高の手札だ。

 ここで浮かれるほど三井サトルは甘く無い。だがしかし、青葉ウミの外見だけは知っていてもどんなデッキを使っていたのかまでは知らない。情報アドバンテージが無い以上は慎重に──


(なんて言ってられっかよォ!)


 手札が良い。相手の運命力が強い。ならばつまり、これでフル展開しても青葉ウミは巻き返してくるという事。

 だったら折角だから全力で相手をするべきだ。何よりやはり、アニメキャラと本気で戦いたいという気持ちも強かった。


「まずは[先頭狼]! デッキから地属性を手札に加えて──魔法[改造手術]で手札の中級恐竜[孤高のダイナ-レックス]に進化ァ!」


「わわっ、速い! 1ターン目に中級モンスター!?」


 毎ターン下級シグナルを出す【除去シグナル】が定番化するくらいには低速の環境ながら、【レックスジャンプ】は未来に生きていた。禁止制限を無視して良いのなら、速度だけなら現代環境も追い付くほどだ。

 何ならここで[タイムマシン]を使えば上級モンスター[恐竜時王ダイムパラドレックス]が出せる。出た時の全体破壊が強みなので先行1ターン目に出す意味はないが。


「これでターンエンドっス。レックスは破壊耐性があるっスよォ〜」


「す、すごいなぁー! 店長、私勝てるかな?」


「青葉君強いから大丈夫だよ」


 元気な少女に素直に尊敬されると気分がいい。

 今思えばこうなりたくて異世界転移したはずだったのだ。




[turn.1]

──◇────◇────◇──

[天真爛漫競泳ガール]青葉ウミ

【ディープアイ】

 Life◇◇◇◇◇ hand5

 ──VS──

[モヒカンアルバイト]三井サトル

【レックスジャンプ(改良中)】

 Life◇◇◇◇◇ hand4

[孤高のダイナレックス]中級/地/獣

──◇────◇────◇──


──[turn.2 青葉ウミ]──




 "禁止制限"というものがある。


 強すぎるカードを野放しにしていてはゲーム環境が崩壊する。そのため、半年に一度のペースでカードの禁止や枚数制限が発表されてきた。

 だがそれは現実の話。この世界において禁止制限など無い。というか特定個人のカードを規制したところで分母が多すぎるから意味が無い。禁止制限とは数多くのプレイヤーが同じデッキばかり使ってしまうから必要なもので、この世界ではそれが起こらないからだ。


 ちなみに、現実のカードゲーム[スターバトラー]の第1回禁止制限改定の目的は、正にそのため。

 あ(・)る(・)特(・)定(・)の(・)デ(・)ッ(・)キ(・)が、環境を蹂躙してしまったために急遽発表されたのが全ての始まりだったのだ。




「いきまーす! 私のターン、ドロー!

 とりあえず[悪徳商人の善意]で二枚ドロー!」


 [悪徳商人の善意]

 (第3回禁止改定:禁止カード)

 突然2枚ドローする。こんなのダメに決まっている。

 当たり前のように初手に引いているのは何故だろう。


「お次は魔法[深海の遭遇]を発動!

 2枚引いて……2枚とも水属性のカードだったから、更に2枚ドローするよ!」


 [深海の遭遇]

 (第1回禁止制限改定:禁止カード)

 水属性を1枚も引けなかったら手札を2枚捨てるデメリットがあるが、そんなもん無いも同然である。

 運命力によって確定4ドロー。おばか。


「えっと……[ディープアイ・ポインター]を場に出すよ!」


 現れるはタコのような触手で構成された人の形のスナイパー。

 海底の底より這いずり出でる恐怖。これが【ディープアイ】というカードテーマである。

 およそ快活美少女青葉ウミが使っていいようなビジュアルでは無いのだが、まぁ本人が気にしてないようなのでヨシ!


「ポインターちゃんは出た時、相手の手札を見(・)て(・)、その内1枚を追(・)放(・)するよ!」


「……はェ?」


 三井サトル、迫真の放心。

 相手の手札を捨てる──所謂(いわゆる)ハンデスという行為には、幾らかの種類がある。

 まず相手に選ばせて捨てさせるもの。これは単純に手札の中で一番必要無いものを捨てて対処されてしまうのでそこまで強くない。

 次に、ランダムに1枚捨てさせる──ランダムハンデス。確実性は無いが、相手のキーカードを撃ち抜く可能性がある。

 その次に、手札を見て自分で選んで捨てさせる──ピーピングハンデス。これはもうピンポイントに強いカードを消し去る最強ハンデスである。このタイプのハンデスをやたら簡単に使えてしまうと、当たり前のように逆転の確率がドカっと下がってしまう。[スターバトラー]の歴史においてパーピングハンデスの規制カードはまぁ中々な数存在する。


 そこに加えて、この狙撃手は最早墓地にすら落とさない。このバトルから取り除き再利用できなくする"追放"である。


 [ディープアイ・ポインター]

 (第1回禁止制限改定:禁止カード)

 最初期のカード特有の、カードの強さとコストの軽さが見合ってないパターンの禁止カードである。デメリットは攻撃不可のみ。おばか。


「あ、この[タイムマシン]強そうだから追放するね!」


「アッハイ」


 三井サトルは青葉ウミに目の前まで近付かれ手札を覗かれ硬直している。

 五稜ソウマは恨めしげに見たり見なかったりしていた。申し訳無さがギリ勝った。


「今日は運がいいかも。切札出せちゃう!

 魔法[嵐の夜の襲撃]発動! 私の場のモンスター全員を手札に戻して、相手と私の手札に倍以上の差があるなら水属性のモンスターを何でもタダで出せちゃう!」(手札9枚)


「出せていい訳が無くねェ?」(手札3枚)


 [嵐の夜の襲撃]

 (第1回禁止制限改定:1枚制限カード)

 なんなら3倍差である。


「行くよ、私の切札! 深海の底、深淵の孔ごと急浮上!

 奈落の大渦![ディープアイ・シュトローム]!」


 現れるはタコ脚の大渦──中央に巨大な瞳が一つ。

 うーん冒涜的(クトゥルフ)。やはりヒロインが使うような切札ではない。


「……なんだこりゃァ」


「[ディープアイ・シュトローム]の出た時効果はっつどう!

 自分以外の全てのモンスターを手(・)札(・)に(・)戻(・)す(・)よ!」


「あっ。俺の[ダイナ-レックス]ゥー!!!」


 破壊耐性というのは中々に儚いもので、手札に戻されては形無しである。

 さて僅か1ターンで上級モンスターの登場だが、ダイムパラドレックスと異なるのはここからである。


「[ディープアイ・シュトローム]で2点攻撃!」


「ほげー!」Life5→3


 当たり前のようにどつかれる三井サトル。

 だが3点と2点では攻撃力が大きく異なる。5つのライフを削り取るには、2回と3回の攻撃回数差がある。


「……ダメージを喰らった後に、手札から対応!

 魔法カード [リベンジビースト]!

 2点ダメージなら中級までの獣種を手札からタダで出すぜェ!」


 サーチ枠を減らした事で入れられた展開カード。【レックスジャンプ】を成立させるには、中級[レックス]モンスターを維持しなくてはならない。破壊耐性だけに甘んじる三井サトルではなかった。


 ──が。


「[ディープアイ・シュトローム]の効果!

 私の手札が相手より多い間、相手は手札からモンスターを出せない!」


 [ディープアイ・シュトローム]

 (第1回禁止制限改定:禁止カード)

 全部バウンスする(手札に戻す)くせに手札から出せなくするアホアホロック能力。

 ちなみに手札7枚を捨ててタダ出しする効果があり、それで出すと手札が減るのでバランスを取っていた……いやだったら[嵐の夜の襲撃(踏み倒し手段)]を同時代に刷るなよという話である。


「ターン終了です!」


弾けんばかりの笑顔。

真後ろの冒涜目玉の目は笑っていないが。



[turn.2]

──◇────◇────◇──

[天真爛漫競泳ガール]青葉ウミ

【ディープアイ】

 Life◇◇◇◇◇ hand8

[ディープアイ・シュトローム]上級/水/悪魔

 ──VS──

[モヒカンアルバイト]三井サトル

【レックスジャンプ(改良中)】

 Life◇◇◇◆◆ hand4

──◇────◇────◇──


──[turn.3 三井サトル]──




「……ドロー! あーっと、モンスターが、手札から?」


「出ません!」


「ッス。ターンエンドで……」




[turn.3]

──◇────◇────◇──

[天真爛漫競泳ガール]青葉ウミ

【ディープアイ】

 Life◇◇◇◇◇ hand8

[ディープアイ・シュトローム]上級/水/悪魔

 ──VS──

[モヒカンアルバイト]三井サトル

【レックスジャンプ(改良中)】

 Life◇◇◇◆◆ hand5

──◇────◇────◇──


──[turn.4.青葉ウミ]──




「もう一度シュトロームで攻撃ー!」


「ぐえー!」


「ターン終了!」




[turn.4]

──◇────◇────◇──

[天真爛漫競泳ガール]青葉ウミ

【ディープアイ】

 Life◇◇◇◇◇ hand9

[ディープアイ・シュトローム]上級/水/悪魔

 ──VS──

[モヒカンアルバイト]三井サトル

【レックスジャンプ(改良中)】

 Life◇◆◆◆◆ hand5

──◇────◇────◇──


──[turn.5 三井サトル]──




「なんもできねっスねコレ」




[turn.5]

──◇────◇────◇──

[天真爛漫競泳ガール]青葉ウミ

【ディープアイ】

 Life◇◇◇◇◇ hand9

[ディープアイ・シュトローム]上級/水/悪魔

 ──VS──

[モヒカンアルバイト]三井サトル

【レックスジャンプ(改良中)】

 Life◇◆◆◆◆ hand6

──◇────◇────◇──


──[turn.6 青葉ウミ]──




「トドメー!」


「ぐげェーーーー!!!!!」




 ──◇────◇──

 ──青葉ウミ win

 ──◇────◇──




 こ れ は ひ ど い。



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