6-2 王道を征く者/新旧パワカ大戦
【カードゲーム[スターバトラー]のルール!】
・モンスターは下級・中級・上級の3種類あるよ!
下級は無条件で毎ターン1体出せるよ!
中級上級は出すのに一手間かかるよ!
・下級は出たターン攻撃できないよ!
・戦闘で同級は相打ちになるよ!
格下には一方的に殴り勝てるよ!
・初期ライフは5つだよ!
モンスターに殴られてライフが0になると死ぬよ!
[turn. 2]
──◇────◇────◇──
[静かに怒れる御曹司]白瀬ショウ
【王道】
Life◇◇◇◇◇ hand3
[王道の盾持ち]下級/光/人間
[騎士トークン]下級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の弩弓隊]中級/光/人間
──VS──
[やらかしおじさん]五稜ソウマ
【サイクルビート】
Life◇◇◇◇◇ hand5
[シグナルレッド]下級/地/機械
──◇────◇────◇──
──[turn2.五稜ソウマ]──
──状況の再確認。
[王道の騎士王]は自分以外に破壊耐性を付与するのだが、複数並んでいるのでもう全員無敵。
味方を犠牲にすればモンスターの場に出た時の効果を無効にする[王道の弩弓隊]も健在。
何より、条件が揃っていれば自力でタダ出しできる[王道の騎士王]を前の[王道の騎士王]の効果でわざわざ出したあたり、残る手札は全て魔法だろう。
妨害や防御、或いは返しのターンの展開用?
対する五稜ソウマは【サイクルビート】。1ターンごとに信号機を1体ずつ出して並べてちまちま削って……といった感じなので、これ以上の展開は厳しいものがある。
これだから[スターバトラー]2年目環境を荒らし即規制された【王道】は困る。名前以外王道要素は無い。
ちなみに【王道】は全体バウンスと展開ロックがウリの【ディープアイ】相手には手も足も出ない。それら以外のデッキを全て駆逐した結果、アニメ放送前に纏めてお縄に付いたわけだが。他所でやってくれ他所で。
──話が逸れたが。五稜ソウマとて無策ではない。
ちゃんと【サイクルビート】は改造済みで、そしてしっかり引くものは引いていた。
「現代パワーに溺れてもらうよ! 魔法[咆哮の決断]!
相手がモンスターの効果を使用したターンに発動できて、二つの効果から好きな方を選ぶんだ。
この場合はモンスター全破壊か──相手同名モンスターのコントロールを奪うか!」
遥か未来、インフレした[スターバトラー]環境を整備するために生まれた抑止力──"決断"シリーズ。
この時代が後に禁止になる大雑把な除去札やドローカードで好き勝手するというのなら、五稜ソウマは未来のパワーカードで好き放題する。
即ち【現代版サイクルビート】だ。
この時代に存在せず、あまりにも強力な未来のカード。運命に選ばれていない頃ならば引けなくて当然ではあるが──そこはちゃんと、自分の運命力も織り込み済みでチューンアップしているのだ。
"【アビスゲート】を使う人"にはなれないが、"未来のカードを使う人"にならばなれる!
「見栄えのいい同名モンスターの横並べ戦術! 源流は君の【王道】だよね! それの対抗策だよ!
さあ対応しないと騎士王全員もらっちゃうよ!」
「当然対応だ。魔法[騎士王の威光]発動!
上級の光属性人間種モンスターが居る時、万能無効だ」
対応されるのは想定内。本来なら発動条件の厳しすぎる[騎士王の威光]も、[王道の騎士王]およびそれ主軸のデッキ【王道】なら容易く条件を満たせるもの。
それも想定しての、この手札。
「そりゃそうなるね。でも次の"決断"が控えているよ!
続いては[陰謀の決断]! 自分のターンに相手が魔法を使った場合にのみ使えるよ。
こちらは2枚ランダムなハンデスか2枚ドロー! 今回は残る2枚の手札を狙わせてもらうよ!」
「……ふむ。通そう」
これで白瀬ショウの手札は0枚。
最低限妨害は止められた──五稜ソウマの手札は、あと3枚。
「でもこれ以上は動けないのでターンエンド!」
[turn.2]
──◇────◇────◇──
[静かに怒れる御曹司]白瀬ショウ
【王道】
Life◇◇◇◇◇ hand0
[王道の盾持ち]下級/光/人間
[騎士トークン]下級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の弩弓隊]中級/光/人間
──VS──
[やらかしおじさん]五稜ソウマ
【サイクルビート】
Life◇◇◇◇◇ hand3
[シグナルレッド]下級/地/機械
──◇────◇────◇──
──[turn3.白瀬ショウ]──
赤坂グレンは、馬鹿者だ。
いやもう何から何までいい加減で場当たりで後先考えない馬鹿者だ。
困っている人を全自動で助ける機械か何かなのかもしれん。
かつて、白瀬財閥の御曹司としてふんぞり返っていた俺をカードバトルで完膚なきまでにボコボコにして、目を覚まさせてくれた。
……カードバトル前に殴られたが。
一度没落し、誰にも見向きされなくなった俺に手を差し伸べてくれた。
……競合他社への殴り込みの際、カードバトルより早く暴力に出ていたが。
異世界に巻き込まれモンスターに洗脳された時も、一度殴ってからカードバトルで解放してくれた。
……思えばあいつ、やたら暴力に出ていたな。
たとえ俺たちの生きる道が運命によって定められていたとしても、あいつのお人好しさ、あと暴力は間違いなくあいつがそうしたいから成した行動だ。
運命に選ばれたから、というよりは。
そういう性格だから、皆に好かれて何事も上手くいく……そういう存在だった。
運命にだって好かれたのだと考えれば、あながち間違いでもない。
だから。
もし、五稜ソウマの干渉で運命が変わってしまったならば許してはいけない。
いけないのだが──。
「五稜ソウマ。一切容赦はしない。耐えてみせろ」
「かかっておいで。[スターバトラー]20年選手の意地を見せてあげよう」
これがまた、困ったことに。
どうにも自分は、五稜ソウマに肩入れしてしまうのだ。
たった1枚のドロー。
そこからの大逆転なぞ、赤坂グレンなら毎度恒例の感覚でやってきた。
そもまだ不利ではないが──
「試さねばならん事もある。魔法[和平交渉]発動!
発動後の俺の手札と同じになるよう、相手の手札を破壊する!」
「禁止カードじゃないか!!!」
「当代に禁止カードの概念無し。
【白瀬CG.s】代表の俺としても禁止制限を施行するつもり無し!」
「ひどいよー」
[スターバトラー]において、相手ターンを凌ぐためには手札からの魔法による妨害防御しか術がない。
故にハンデスの対策だけはどの時代でもあるのだが──
「相手の効果で手札から墓地へ捨てられた時、魔法[ハンターライフ]は墓地から発動できる! その効果で3枚ドロー!」
「ハンデス対策もそこまで来たか……!」
ハンデス対策は古来より存在する。
手札の枚数でロックを仕掛ける【ディープアイ】対策に生まれた過剰なまでのハンデスカードは、【ディープアイ】禁止に伴い[スターバトラー]をハンデスゲームへと変質させた。
そのためハンデスされた時に発動するカードは結構な数があるが……そうも初期の段階からハンデスがあるならば、時代とともにインフレするのは必定。
捨てられた1枚分の損失を補うだけではとても追いつかない。故に現代ともなれば3枚ドローも当然である。
(流石は未来のカード。運命力の問題を解決した異世界転移者はこうもやりにくいものか)
(流石は古代のカードだね。現代まで禁止にぶち込まれているパワーカードが平然と出てくるよ。それを引き込めるのもメインキャラの運命力ってやつかな)
時代は違えども──思う所は同じ。
((カードパワーが高すぎる! やりにくい)なぁ)
隣の芝は青いのである。
「総攻撃だ。[王道の騎士王]で[シグナルレッド]を破壊!」
「そこは通るよ。ごめんね赤信号」
騎士王と同等の大きさを誇る大剣が、信号機戦士をスクラップ。無惨。
騎士王は2点で攻撃可能が後2体。他の1点攻撃は3体。合計7点は流石に死ねる。
だが──白瀬ショウに手札が無いということは、五稜ソウマの妨害に対してノーガードという事。
「[王道の騎士王]で直接攻撃!」
騎士王の大剣が五稜ソウマを両断──ライフは5から3へ。
「対応、[逆転準備]!
上級モンスターの攻撃で失ったライフ分ドローするよ! これで手札は4枚!」
「あえて受けたか。ならば3体目の騎士王で攻撃!」
「3種目の"決断"カード[鮮血の決断]!効果は3点回復!」
「だが攻撃は通る!」
怒涛の騎士王ラッシュ。凌いだ後の五稜ソウマのライフは──4。
「[騎士トークン][王道の盾持ち][王道の弩弓隊]の攻撃」
「全部通るよ! ……生き延びたぁ」
命からがら、ライフ1で耐えた五稜ソウマ。
白瀬ショウの第2ターンにしての6体連続攻撃。お互いに一度手札0枚まで枯らされての攻防。
とてもこの時代の攻防ではない──間違いなく、五稜ソウマ含む異世界転移者の影響はある。
それは外部顧問を迎えている"ブラック財団"も同様に──
[turn.3]
──◇────◇────◇──
[静かに怒れる御曹司]白瀬ショウ
【王道】
Life◇◇◇◇◇ hand0
[王道の盾持ち]下級/光/人間
[騎士トークン]下級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の弩弓隊]中級/光/人間
──VS──
[やらかしおじさん]五稜ソウマ
【サイクルビート】
Life◇◆◆◆◆ hand3
──◇────◇────◇──
──[turn4.五稜ソウマ]──
とってもピンチ。
一番厄介なのは[王道の騎士王]の破壊耐性だよね。全体破壊の[流星群]とか投げても無傷だもの。イカれてる。
一応対応策は……引けてはいる、かなぁ。
「魔法[シグナルサイレン]発動! 墓地の信号機を2種蘇生するよ!」
「ハンデスに巻き込まれていたか」
現れるは[シグナルレッド]に[シグナルグリーン]。効果で次に対応する[シグナルグリーン]と[シグナルイエロー]をデッキから手札に加えられる──のだけれど。
「信号機が揃ってしまえば[シグナルスクランブル]で一気に攻め込まれかねんな。[王道の弩弓隊]で騎士トークンと[王道の盾持ち]を犠牲に、その効果を無効!」
数が減れども健在な3人の騎士王。
それでも──まだ戦える。
「まだ引けてないんだよね。魔法[寒暖差ショック]発動!
前のターンにダメージを受けている場合、相手に1点ダメージを与えて1枚ドロー!」
「ぬ……痒い」
無傷だった白瀬ショウのライフに傷が付く──攻撃行動以外でのダメージカード、つまりバーンである。
しかしその主目的はおそらく──
「[咆哮の決断]を新たに引き込むつもりか。
同名モンスターのコントロール奪取ならば、[王道の騎士王]3体全てを奪って逆転となる」
「そういう事。さあさあ引いてやる──!」
勢いよく。
五稜ソウマのデッキから引き抜かれるは──
──魔法対応の[陰謀の決断]。
「………………一旦ね、一旦ターンエンドしようかな?」
「引けなかったのか」
「わかんないよ?」
「そうか」
[turn.4]
──◇────◇────◇──
[静かに怒れる御曹司]白瀬ショウ
【王道】
Life◇◇◇◇◆ hand0
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の騎士王]上級/光/人間
[王道の弩弓隊]中級/光/人間
──VS──
[やらかしおじさん]五稜ソウマ
【サイクルビート】
Life◇◆◆◆◆ hand3
[シグナルレッド]下級/地/機械
[シグナルグリーン]下級/地/機械
──◇────◇────◇──
──[turn5.白瀬ショウ]──
「ドロー。[流星群]。信号機粉砕」
「やられた」
「総攻撃」
「対応ありません負けました」
──◇────◇──
──白瀬ショウ win!
──◇────◇──
瞬殺である。
運命力を得たとしても、相手が正規ライバルであればこんな所か。
「……で、どうかな白瀬君」
「ああ。多分大丈夫じゃないか?
特に何も賭けていないこの状態でも事故は起きなかったのだろう?」
「うん。最低限の運命力に加えて現代カードと禁止制限カードのパワーがあればなんとか食いつけると思う。【アビスゲート】しか使えなくなるわけじゃなさそうだし」
ほぼ憂さ晴らしだが、これは五稜ソウマの実力を図るためのものだ。
──遂に刻を動かすための、最終確認だ。
「じゃあ、白瀬君」
「ああ。始めよう──最終決戦を」
"ブラック財団"の本拠地は遥か海の向こう。物語が止まった今、"ブラック財団"側からの妨害は運命で守られない。
なので──向こうからご足労願う。これぞ社長の営業スキル。
街中の街頭テレビが白瀬ショウ一色に染まる。この街ではままある事である。やばい。
──◇──
──荒翠市のカードバトラー諸君。
【白瀬CG.s】代表の白瀬ショウだ。
今回【白瀬CG.s】は、新たな[スターバトラー]大会を開催する。
その名も"トライアングルカップ"!
ルールは追って説明する。
優勝賞品は名誉。
そして──この白瀬ショウが、何でも一つ願いを叶えてやろう!
楽しみに待っているが良い。以上!




