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Oh, my sister……

「ぐっ……」


 蛙丸を渡したところで、つい呻き声が漏れてしまう。


「? どうしたのかの?」


 竜介翁が私の様子に不審の目を向ける。

 いや、うん、別に大した事じゃないんだ。ほんとに。

 そう、これは――、


「いや、単に魔力が尽きただけだ。

 いや、流石に色抜きから成型まで一気にやると消費が激しいな、はっはっはっ」


 いやー、もう幻術の維持すら出来そうにないわー。

 転生特典で魔力増えてんのに、これだよ。

 基本スペックの貧弱さはどうにかならんのかね、ほんっと。


 揺らぐ私。

 ぼんやりと向こう側が透けて見えている。


「と、いう訳で、評価は次回にでも聞かせて貰おう。

 今回はこれにてアデューアディオスアミーゴ」


 そして、私は消えた。


~~~~~~~~~~


 さて、意識が戻ってきた訳だが、


「あぅー。だぁー!」


 マイシスター咲輝ちゃんが元気にはしゃいでいる。

 大変に良い事だと思うが、今は良い子は寝る時間だぞー?

 夜更かしは美容の天敵だぞー?

 もう《スリープ》の魔法が効かないから、強引に寝かしつける事も出来ないゼ!


 いや、まぁ、それは良いんだけどさ。


 いやー、赤ん坊とでかい蜘蛛が戯れてる姿って、すっごいシュールだわー。


 うん、そうなんだよ。

 今、咲輝ちゃんってば、蜘蛛子と戯れてるんだわ。

 びっくりだよね。

 そう仕向けたのは私だけどさ。


 何でかって言うと、咲輝ちゃんが両親の所に行こうとするんだよね。


 でもね? 聞いて、咲輝ちゃん。

 今、あの二人、超お取込み中なの。


 だって、ほら、耳を澄ませてみれば、聞こえてくるでしょ?

 ギシギシ、あんあん、な感じな音がさ。


 うん、両親、発情期真っ盛り。まぁ、私の所為なんだけどさ。


 いやいや、一応、言っておくが、媚薬を盛ったりなんてしていないぞ?

 私がしたのは、あれだ、ローポーション・ボディソープverを仕込んだだけだ。


 あれ、常用してると肌の痛みを老化現象含めて癒しちゃうんだよね。


 おかげで、我が母はとても三十代とは思えない美肌を取り戻し、見た目も二十代前半位に若返っている訳でして。

 我が父の母を見る目が完全に肉食獣のそれになっていたよね。


 で、それ、別に母だけじゃなくて、父の方にも適用される訳で。

 父も父で張りのあるお肌に若返ってイケメン全開というか、親父、アンタ、そんなにカッコ良かったんだな、ってな気分でして。

 我が母ってば、恋する乙女みたいな目をしていたね。


 その結果が、これである。お盛んで結構な事だ。


 妹なり弟なりが増える事は良い事なので、私としては言う事はない。

 産めよ増やせよ地に満ちよ、ってな具合だ。

 人口減少に歯止めをかけるべく動いてんだよ、って理論武装も完璧だ。


 故に、私は生暖かい目で両親が仲良く寝室へ消える姿を見送った訳なのだが。


 純粋な一歳児である咲輝ちゃんに、そんな情緒が理解できる訳がない。

 両親に甘えたい盛りな咲輝ちゃんは、大人の戯れをしているお二人の下へ行こうとするのよね。

 大変に危険な行為である。


 なので、私が相手をしてなんとか足止めをしている訳なんだけど、私は私で用事がある。

 具体的には武士どもと話を付けなければならない。


 思考を分割して両立させる事は……まぁ出来ないとは言わないけども、余計に魔力を喰っちゃう。

 それはまずいだろうと考えた。

 蛙丸作成がギリギリだった事を考えれば、英断と言える判断だね(自画自賛)。


 じゃあ、どうしようか、と首を傾げた時に、ふと蜘蛛子が私の目の前を横切ったのだ。


 ……もうこいつで良いんじゃね?

 そう思った私はきっと血迷っていた。


 咲輝ちゃんを傷付ける様な行為は厳禁。

 怪我一つでもさせてみろ、テメェ塵も残さず消滅させてやるからな、と脅しに脅しをかけて咲輝ちゃんの足止め要因として送り出した、というのが事の真相である。


 その結果、一人と一匹は予想以上に馴染んだ。


 いや、もう、驚きですわ。


 咲輝ちゃんは赤ん坊だからでしょうね。

 でかい蜘蛛という、まぁ一般的感性をしていれば忌避しそうな存在にも、好奇心という物を糧に平気で近付いた。


 で、蜘蛛子の方は、咲輝ちゃんに盛大に懐いた。

 主にその溢れんばかりの魔力に惹かれて。


 いやー、実は私の英才教育の結果、とうの昔に咲輝ちゃんの保有魔力ってば私のそれを上回ってんのよね。

 量も質も。


 だけども、制御訓練なんてしてないから、もう駄々洩れ。

 その漏れた魔力がとても美味しいらしい。


 おかげで、私が何かを言うまでもなく、守護獣化した。

 いやさ、獣じゃないけど。

 多分、もう私が何を言っても離れないだろうなー。

 ってか、私と咲輝ちゃん、どっちを取るかって聞いたら咲輝ちゃんを選ぶと思う。


 これが寝取られ……!


 まぁ良いさ。楽しそうだし。


 でも、お兄ちゃん、将来が心配。

 このまま行くと、色んな人外ズを引き寄せては、異形の軍団を作っちゃいそう。


 リアル百鬼夜行とか。

 しかも、それが実の妹とか。


 うん、不安しかないね。

 どないしよ。

 大体悪いのは私なんだけど。


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