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16-10 強大な力

 

 もうここには用は無い。踵を返し、扉から外に出る。


 外に出ると薄暗いが日差しはあり、まだ昼間って事が分かる。入ってからそれほど経っていないのか。だが俺にはとても長い時間だった。


 近くの岩場に腰掛けるライルは2対の剣を太陽に当てて見ていた。太陽光を反射する綺麗な刀身に吸い込まれそうになる程見とれてしまう。


 俺に気付いたライルは剣を消滅させる。剣を異空間にしまってるかのように。恐ろしいほどに綺麗な赤と青の剣だ。


 俺を見たライルは満足そうに頷く。


「どうやら力を手にしたみたいだな」

「……はい」


 貴方も俺と同じように試練があったのですか、そう聞きたかったが他人が勝手に踏み込んでいい領域ではない。


「それも俺のように武器じゃなかったんだな」


 意外そうにアゴを撫でながら俺をまじまじとみる。


「……ええ、風の適性があるとか何とか」


 風の適性があると言われたが全く身に覚えが無い。

 ずっと過去の振り返るが見つからず、首を傾げるしかない。


 そんな俺を興味深そうに凝視していたライルは石の上から立ち上がり、悟った風に笑う。


「適性は内面も関係するそうだ。確かに風のような奴だ、お前は」

「……どういうことですか?」


 褒められてるのか、けなされているのか、これでは分からない。自分には見えてない自分、それを知ることが出来るかもしれない。


 後頭部を掻きながら、答えるライル。


「そうだな。良い意味でも悪い意味でもお前は風のように熱されやすく、冷めやすい。そして風のようになびきやすく、確固たる信念がない。今のお前を突き動かすのは復讐心のみだ」

「……復讐心で生きることの何がダメなんです? 俺の人生なのだから問題ないと思いますが」


 強い力を手に入れたからかもしれない、俺の口から勝手に強気の言葉が出ていた。


 食い付いてきた、と言わんばかりの嬉しそうな笑顔で答えるライル。


「前のお前ならまだ自分一人の事を考えれば良かったかもしれん。だが今のお前は間違いなく、強大な力を持っている。大きな力を持った者は常に自分の身の振り方を考えなくてはいけないのだ」


 ーーそういえば、エルス国の授業で言っていた気がする。大きな影響力を持つタレントや歌手、著名人は迂闊なことは出来ないと。彼ら彼女らが右と言えば多くの人が右へ向くだろうと。


「ーー要するに、復讐するなと言いたいのですか?」


 俺は復讐の為、生きてきた。もしそれを奪われるなら、俺は何を目標に生きていけば良いんだろうか。俺から生きがいを奪うつもりか。


 目を細くしてライルを睨みつける。


「たとえ、ライルさんが止めても俺は……やりますよ」


 これだけは譲れなかった。今では俺の人生の意味はこれだけなのだから。


 すると額に手を当てて、大きな溜息を付くライル。


「止めても無駄なのは分かってる。むしろここで止めることは心が壊れる。俺が言いたいのは復讐した後どうするかだ。する事が無くなり、力を持て余す。そして誰かに使われるか、暴走するかだな」


 確かにその後の事は何にも考えてなかった。大切な人もしたいことも無い。多分死ぬしか無いのだろう。


「地球連合軍やエルス国の為に力を使えと言うことですか?」


 この人は元地球連合軍だ。自分の利益になる事を勧めるのは当然だ。


 だがライルは横に首を振り、笑顔を見せる。


「そんなことはその時に決めればいい。自分で身の振り方は決めろ。だが自分の欲望の為にその力を使うのなら俺はお前を許さない」


 最後は俺への殺気で満ちあふれていた。強大な力を手に入れた今でも敵わないかもしれないという事が体で分かる。


 震える体を抑えるのが精一杯だった。


「もし火星側についたとしてもそれはお前の正義だ。戦場で堂々と戦おう」


 この人は敵になっても構わないと言っている。それは自信の表れなのか、この人の信念なのか。


「……分かりました。復讐を終えたらじっくり考えます。もしかしたらこれが話すの最後になるかもしれないですね」


 ふと周りを見れば木々の葉から漏れる光が綺麗だ。さっきまでは落ち着いて見られなかったから気付かなかった。


 キラキラと輝く太陽を見て俺は思うーー


 ーーラフィ、ありがとう


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