評判を買う男
ハーディの所在は分からなかったが、彼が前月まで町の慈善会へ多額の寄付をしていたことが判明した。寄付の記録は公に掲示され、会長は礼状まで渡している。救貧院は受け取った金で薬草の苗を買い、冬越しの老人に食事を配った。金の行き先に嘘はない。
シオンは会長を訪ねた。「人を閉じ込めた金で善行をしたのか」。会長は顔色を変えず、「受け取る前に知っていれば断った」と答えた。寄付を返したくても、すでに費やした分がある。町会は救貧院の資金を守りながら寄付者名を外す方針を協議した。
その晩、慈善会の掲示板に『良き雇い主ハーディ』という古い称号が残っていた。シオンは剥がす手を伸ばし、途中でやめた。証拠として必要なら、まず写しを取るべきだ。黒い花の版を横へ押して嘲ってみたい衝動を堪えた。
慈善会の帳簿には寄付の内訳が詳しく残り、薬草の苗を誰が植えたかも分かった。院長はハーディへの感謝状だけを回収しても、苗を抜くことはしないと答えた。働いた老人たちの季節がそこにあるからだ。シオンは不正な金で支えられた善い仕事を目の前にして、切り分けられない複雑さを嫌いながら受け入れるしかなかった。
ハーディを称えていた商人の中にも、見習いを雇う者がいた。彼らは今度は自分たちまで疑われると抗議し、労働条件の公開へ反対した。一方で帳簿を開いて正当に払っていた商会は、公開の方が得だと主張した。利益に従って陣営が分かれる。
慈善会の会長は最終的に掲示を取り外し、板の裏へ日付と理由を書いた。寄付そのものをなかったことにはしない。シオンは職人の手付きで釘穴を眺め、自分の黒い花がいつか褒め言葉として売られたらどうするか考えた。甘い賛辞ほど、悪の輪郭を曇らせるものはない。




