消えた荷台
河港の荷詰め場から、夜のうちに車三台分の品が出た。送り先は東の倉庫と記されているが、町会には届出がない。衛兵ヨエルは証拠保全のため通行記録を集め、荷主には勝手に車を追わぬよう求めた。貨物はすでに別人へ売られているかもしれない。
シオンは夜市の荷運びから、荷車の幌の縫い目が自分の仕事だと聞いた。思い当たる注文がある。ハーディの店から依頼された際、どの荷を積むか知らずに直したものだった。役所へ行き、注文書の控えを出した。ヨエルは礼を言う代わりに、日時を再確認した。
東の倉庫では、車がまだ一台残っていた。買主は正規の荷主から仕入れたと思っており、代金も支払い済みだった。ヨエルは売買を一時差し止め、持ち主の確認を求めた。倉庫の労働者は手を止め、遅れた時間の賃金を気にし始める。
東の倉庫主は荷の売買を差し止められると、貸した場所の料金だけは支払ってほしいと言った。買主も損失を負い、誰が負担するかで揉めた。ヨエルは立場を変えず、受領日を一つずつ読み上げた。悪事の網が広がるほど、無関係な商人の金が絡む。シオンは被害の図を紙に描き、線が自分の知らない町へ伸びることに気づいた。
シオンは鍵の掛かった車を見て、力ずくで開ければ帳簿を見つけられると考えた。だが荷主の証明を待つ間にも、無関係な人足が疲れて座り込んでいた。彼は自分が引き起こした前の遅延を思い出し、手を出さなかった。
夕方、車の中から契約書の束が見つかった。ハーディが客の荷を担保に借金を重ねていた証拠だった。シオンの縫い目は荷の移動を辿る手掛かりになったが、男の居場所は不明のままだった。東の空には雨雲が広がり、荷役人たちは濡れぬ場所へ荷を戻した。




