↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の美学――染物師の弟子は、最高のヴィランを目指す  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
55/156

告発の順番

監察局は関税問題の調査を再開した。戻った受領記録をもとに、上官の古い命令の使用と、返金の遅延について別々の審理を行うことになった。シオンの窃盗は第三の案件として切り分けられた。何も一つにまとめて終わらせはしない。

ネラは返金を待つ商人たちの代理で帳簿を持ち込み、遅延による損失の一部を請求した。監察局は満額を認めなかったが、仮払いの仕組みを用意した。シオンの身柄があるからといって、彼を全ての損失の唯一の原因にするわけにもいかない。最初に誤った徴税をした者たちの責任も残る。

牢を訪れたラウルは、修繕仕事の未納品分を引き受けたと告げた。対価は後で請求するという。シオンは礼を言いかけ、やめた。仲介人は肩をすくめた。「借りを残しておく方が、商いになる」。

ヨエルは供述を書き直すため何度も来た。最初は単なる脅しのつもりだったのか、いつから証拠を持ち去ると決めたのか。答えを曖昧にすれば罪が軽くなるかもしれない。しかしシオンは、前日に道具を用意していたことまで話した。

仮払いの申請に来た靴工房の親方は、書類に小さな染みをつけてしまった。手の傷に塗った薬が残っていたのだ。窓口の係員は新しい紙を渡し、急がなくてよいと言った。相手を責めれば仕事が早まるわけではない。ネラは帳場の向こうでそのやり取りを見守り、何も特別な感想を抱かなかった。暮らしを守るための細かな手続きは、誰かの償いより先に進まねばならない。

外では川の氷が薄くなり、春前の荷が動き始めていた。町は彼の判決を待たずに暮らしている。牢にいる一人の男の決意で、止まるものばかりではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。