告発の順番
監察局は関税問題の調査を再開した。戻った受領記録をもとに、上官の古い命令の使用と、返金の遅延について別々の審理を行うことになった。シオンの窃盗は第三の案件として切り分けられた。何も一つにまとめて終わらせはしない。
ネラは返金を待つ商人たちの代理で帳簿を持ち込み、遅延による損失の一部を請求した。監察局は満額を認めなかったが、仮払いの仕組みを用意した。シオンの身柄があるからといって、彼を全ての損失の唯一の原因にするわけにもいかない。最初に誤った徴税をした者たちの責任も残る。
牢を訪れたラウルは、修繕仕事の未納品分を引き受けたと告げた。対価は後で請求するという。シオンは礼を言いかけ、やめた。仲介人は肩をすくめた。「借りを残しておく方が、商いになる」。
ヨエルは供述を書き直すため何度も来た。最初は単なる脅しのつもりだったのか、いつから証拠を持ち去ると決めたのか。答えを曖昧にすれば罪が軽くなるかもしれない。しかしシオンは、前日に道具を用意していたことまで話した。
仮払いの申請に来た靴工房の親方は、書類に小さな染みをつけてしまった。手の傷に塗った薬が残っていたのだ。窓口の係員は新しい紙を渡し、急がなくてよいと言った。相手を責めれば仕事が早まるわけではない。ネラは帳場の向こうでそのやり取りを見守り、何も特別な感想を抱かなかった。暮らしを守るための細かな手続きは、誰かの償いより先に進まねばならない。
外では川の氷が薄くなり、春前の荷が動き始めていた。町は彼の判決を待たずに暮らしている。牢にいる一人の男の決意で、止まるものばかりではない。




