空箱の中身
夜間の倉庫で、空箱ばかり積まれた場所が見つかった。箱の外には食料の印があるが、中身は取り出され、代わりに紙屑が詰まっていた。ハダは管理係を集め、搬入の記録を一日ずつ照らし合わせた。船員は箱の重さを量った覚えがなく、積み荷の確認が甘かったことを認めた。
空箱は少しずつ別の倉へ運ばれ、その倉の持ち主が保管料を請求していた。船から降ろして倉へ入れたことにすれば、帳面の上では品物がまだ存在する。誰かがその数字を使って金を得た可能性があった。
空箱の側面には、水に濡れて消えかけた船名があった。運んだ船を調べれば、最初から空だったか、途中で中身が抜かれたか分かるかもしれない。ハダは船長へ手紙を送り、返事が届くまで箱を別の区画へ移した。勝手に捨てると後で誰も確かめられなくなる。
箱を動かした若者たちは肩に担いだ軽さを不思議がった。普段は麦で重いはずの箱が、今日はからからと音を立てる。シオンが革帯を直した箱もあり、結び目だけは確かに自分の仕事だと分かる。だが自分の手が届いたのは外側の一部だけだった。港のどこかで別の人間が荷を詰め、また別の人間が運んだ。その長い仕事の列の途中へ、誰かが空白を作ったのだ。
シオンはハダから補修用の革帯を頼まれ、倉の隅で作業した。帳面を盗めば、これらの不正を一人で暴けるかもしれない。だが人々が紛失品の行き先を調べている横で、証拠を持ち去ることは彼らの仕事を邪魔する。
昼過ぎ、若い荷役人が空箱へ腰を掛け、額の汗を拭いた。「中身のないものを運んで、何をしてたんだろうな」。ハダは、空でも船や車は動き、人は賃金を受け取っていると答えた。盗まれたのは品物だけではない。信頼して働いた時間まで、誰かの金儲けへ使われていた。




