守られた集会所
町外れの小さな集会所に、六枚花弁の札が貼られた。町会へ金を払わねば建物を壊すと書いてある。ここは子供たちへ読み書きを教える場所で、夕方には働く大人も字を習いに来る。講師の老婆は札を剥がさず、まず衛兵を呼んだ。
バルトは周囲を見回り、窓の枠に小さな傷を見つけた。夜番の若者が何者かに石を投げられたと話す。講師はしばらく授業を短くすると決めたが、閉めるつもりはなかった。子供たちは大人の不安を察し、今日は普段より静かに机へ向かった。
集会所の子供たちは、黒板へ「灯」という字を練習していた。講師は怖いことがあっても、覚えた字は誰にも奪えないと言い、文字の形を何度も書かせる。年上の少女は弟の小さな手を支え、線がはみ出しても怒らなかった。窓の外では衛兵が石の落ちていた場所を測っている。
屋根裏には古い教材が残り、紙を買えない子供がそれを使う。講師は授業料を取っていないわけではなく、払える家から少しずつ集めている。町会の補助が途切れれば続かない。脅しの札がなければ今夜もいつもどおりだった、という言葉には、毎日ここを守ってきた人の疲れが滲んでいた。シオンは戸口の黒板消しを拾い、黙って元の棚へ戻した。
シオンが帰り道に立ち寄ると、講師は彼の黒衣を見て「あなたの仕事か」と尋ねた。彼は否定した。老婆はそれ以上責めず、「違うなら、ここに恐い人を増やさないで」と言う。教える側には、犯人探しより明日の授業が大切だった。
夕方、窓辺に明かりが灯り、講師は再び黒板へ文字を書いた。シオンは誰かが自分の名を使って弱い相手を脅していることに怒る。だがその怒りを集会所の前で見せることが、子供をさらに怖がらせると分かった。彼は扉から離れ、暗い道へ歩み去った。




