黒花を借りた男
ダルンは町会に呼び出され、六枚花弁の札について追及された。使いが受け取りを認めたうえ、脅迫文を書いた紙が店で見つかったからだ。彼は取引の遅れを取り戻すため、少額の金を集めただけだと言った。誰かが本当に怪我をしたわけではないとも付け加える。
「私にも、同じことをしたと言えるか」とシオンが口を挟んだ。傍聴していた人々が彼を振り向く。ダルンは顔を赤くし、あんたのやり方を真似たと答えた。町会の書記は二人に静かにするよう命じ、審理を続けた。
審理の後、ダルンの使いは戸口で商人の息子と口論になった。渡した銀貨はどうなったのかと問われ、使いは報酬の一部を家賃に充てたと答える。商人の息子は怒ったが、バルトが記録を終えるまで待つよう求めると、唇を噛んで引き下がった。
一方、町会の書記は六枚花弁の札だけでなく、同じ文体で別の印を使った紙がないか調べていた。模様が似ているから同じ犯人と考えるだけでは足りない。シオンは、自分が「本物」だと名乗るための根拠が花弁の数しかないことに気づく。彼が犯した罪の大きさを誇るつもりなら、その罪に苦しんだ者の名前も引き受けねばならなかった。
シオンはその場で男を殴りたかった。人の恐怖に寄りかかり、他人の印の名だけ借りる者を許せない。しかしバルトの目は、すでに彼の方も見ている。黒花の名を使った行為と、自分がした行為をどう区別するのか。答えは単純な花弁の数ではなかった。
帰り道、彼は港の板壁に六枚花弁が落書きされているのを見た。上から子供が花びらを二枚足し、下には笑った顔を描いてある。どんなに厳しい美学を抱いていても、町の人間は自分の印を自由に扱う。その自由まで粛清するなら、彼は何人を敵に回すのだろう。




