六枚目を数える者
港の荷箱から、黒い花を押した小さな札が見つかった。天幕の事件を真似て、商人を脅すためのものらしい。花弁は六枚で、文字には明日の夜までに銅貨を出せと書かれていた。倉庫番のハダは荷役人を集め、見つけても一人で触らないよう指示した。
バルトは脅迫札を回収し、黒花の事件と同じ犯人かどうかを調べ始めた。商人は札の内容を皆に知らせることを渋った。大した金額ではないが、騒ぎになれば取引先が逃げる。ハダは倉の鍵を替え、夜番の人数を増やすことにした。
問屋は札を受け取った時刻を正確に覚えていなかった。帳場にいた女は午後の鐘を聞いた後だと証言したが、荷役人は朝から箱へ貼られていたと言う。バルトは双方の話を記録し、どちらかを嘘つきとは呼ばなかった。倉の中は薄暗く、朝でも午後でも同じように見えるからだ。
港務官は荷札の付いた木箱を別へ移し、取引に影響が出ないよう他の荷を出す順番を変えた。恐喝を調べるため荷をすべて止めれば、脅した者の思うつぼにもなりかねない。シオンは花の版を磨きながら、模倣者に与えるべき罰を考える。だが罰を選ぶ前に、相手の名さえ分かっていなかった。
シオンは噂を聞き、六枚の花弁に顔をしかめた。自分の印の数を間違えた者が、その名を恐喝に使っている。彼は心底軽蔑した。しかし荷役人の一人は「五枚でも六枚でも同じだろう」と言う。恐怖を受けた人間には、その違いを気にする理由がない。
夜、シオンは仕立場で古い版を押し、隣に六枚花弁の絵を描いた。紙の上では容易に見分けられる。町ではどちらも誰かの暮らしを脅かす印でしかなかった。彼は自分の花が勝手に増えたことより、人々が増えた花弁をまったく気にしないことに怒りを覚えた。




