↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の美学――染物師の弟子は、最高のヴィランを目指す  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
173/228

知っていた筆跡

掲示板に回収された黒板が置かれ、情報提供を求める紙が添えられた。板を切った刃の痕と、花の彫り方は特徴的だった。サナは仕事帰りにそれを見て、シオンの道具を思い浮かべた。確信はない。しかし考えないわけにはいかない。

翌朝、彼女は彼を工房へ呼んだ。「あの板、あなたなの」。シオンは否定しなかった。なぜそんなことをしたのか聞かれると、名前を恐れさせるためだと答えた。サナは椅子から立ち上がり、作業台に手をついた。

ヴェグは道具棚の奥から、シオンが最初に作った革の型を出した。傷んでいるが、まだ使えるものだった。置いていくかと尋ねられ、シオンは持ち帰ると答えた。三人はその型を直した日に、初めて共同工房の利益を分けたという。誰かを脅すためではなく、仕事を続けるために集まった四人だった。ケルは最後の勘定をつけ、残りの持ち分を細かく計算した。追い出す相手へも正確に払うことが、三人にとっては大切だった。

「私たちが守ってきた橋を、あなたの飾りにしたの」。彼女の声は震えた。シオンは自分の願いを語ろうとして、相手が聞く義務などないと思い直した。代わりに、被害を受けた人の請求は自分が引き受けると伝えた。

サナは金で済む問題ではないと繰り返した。工房を信じてくれた客まで、不安にさせたかもしれない。今度こそ共同の契約を終えるという。ヴェグもケルも署名し、リナは顔を伏せていた。

シオンは道具箱を持ち、工房を出た。空になった棚を誰かが使うことになる。黒衣を着た自分が帰らない場所を、また一つ増やした。背後では針の音がすぐに戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。