帰路の石畳
公領での用事が終わり、シオンはルーヴェル行きの馬車に乗った。帰りの乗客には、穀物取引を失った商人、嫁ぎ先から戻る娘、巡察官の書類を運ぶ使いがいた。それぞれが別の事情で同じ道を選び、車輪のきしみを聞きながら黙っていた。
途中の宿駅では、小さな祭りが開かれていた。子供たちが木の剣を振り、大人は火を囲んで酒を飲む。シオンは黒い外套を着て広場を横切ったが、誰も道を譲らない。子供が剣を上げ、彼の裾を踏んでしまった。
道中、馬車の車軸が熱を持ち、御者が休憩を長く取った。商人は急かしたが、御者はここで壊れれば全員が野宿になると説明した。乗客たちは互いに荷を見張り、小川の水を運んで車輪を冷やした。シオンは予備の革帯を貸し、交換作業を手伝う。黒花の名で命令しなくとも、頼まれれば人は協力する。空が暮れた頃、使いは彼へ一言だけ礼を告げた。その声には恐怖も尊敬もなく、ただ旅を終えたいという疲れが混じっていた。
少年の母親が謝り、シオンは反射的に不吉な台詞を言おうとした。だが少年はすでに友人と走り去っている。声をかける相手も失い、彼は外套の端を持ち上げて歩いた。
馬車で隣になった使いは、領主館での小会議を知っていた。「水車の騒ぎに変な男がいたそうだ」。シオンが名を告げると、使いは驚き、しばらく距離を取った。恐怖と警戒の区別はつかない。ただ旅の残り半日、その男は余計な話をしなかった。
夕暮れ、ルーヴェルの鐘楼が見えた。橋には新しい足場が組まれ、港の術灯は二つ増えていた。シオンが町を離れていた間にも、多くの手が働いていた。自分の悪がどれほど大きくなろうと、帰る場所まで同じ姿で待っている保証はない。




