噂の値段
地主の取引先は噂を聞いた後、信用を確かめるため保証金を求めた。地主はその費用を小作人へ転嫁しようとしたが、暫定命令があるためできない。別の業者へ頼む者も現れ、穀物の値は短い間に何度も変わった。
シオンは商人から、紙一枚の噂がどれほど金を動かすか聞いた。言葉で人を恐れさせることは、剣を向けるより安い。しかし支払うのは必ずしも狙った人間だけではない。荷車を雇う農夫や、待つパン屋も余計な負担を背負う。
地主の代理人は、噂を流した青年を厳しく罰するよう求めていた。だが雇い主はそれだけでは商売が戻らないと知り、取引先へ説明に出かけた。契約の透明化を約束しても、顧客はすぐに信じない。小作人たちも、以前の条件へ戻ったことだけでは安心できなかった。シオンは自分の嘘が相手を罰したのではなく、疑いを地域へ撒いたのだと見た。その醜さから目を逸らすなら、悪の華を名乗る資格など最初からないのだろう。
彼はその負担を知っていた。にもかかわらず、今度は訂正した噂がどこまで広がったのか確かめようとした。市場で話しかけた二人は、最初の話だけを覚えている。正しい説明より不正の疑いの方が、長く口に残る。
フェルマは町の掲示板に訂正通知を貼らせた。人々の疑いはすぐには消えないが、公的な記録は変わる。地主も自分の契約がどう受け止められたかを知り、税の数字を公開するか検討し始めた。
シオンは広場の端で、その知らせを聞いた。敵が変わったのか、ただ取引を守ろうとしているのかは分からない。彼が黒花に求めるのは、相手の心の奥へ残る傷跡だった。けれど心は帳簿に載らず、他人の目で確かめることもできない。




