閉じられた水車
水車が止まった翌朝、村では粉が足りなくなった。小麦そのものはあるが、挽く場所がなく、パン焼き場は干した麦をそのまま売るしかない。地主は契約を再交渉すると通知したものの、閉鎖を決めた理由を明かさない。人々は代理人の悪口を言い、シオンの言葉を噂として広めた。
巡察官フェルマが村に入ると、最初に事情を聞いたのは水車守だった。彼は働けない日の賃金を心配し、地主との付き合いも切りたくなかった。誰かを告発するより、水車を一日でも早く回したい。それだけを望んでいる。
隣村へ麦を運ぶ男たちは、荷を抱えたまま坂を越えた。粉挽きの順番は夕方まで埋まり、待つ間の食事をどうするかで揉めた。村の女たちは共同の鍋を出し、子供が水を運ぶ。小作人はシオンへ怒鳴らず、ただ自分の選べる道が減ったと静かに告げた。その沈黙がかえってシオンには痛かった。誰かを恐れさせたつもりで、守りたかったものの重さを知らない。彼は自分が正義をしたという弁解を、もう二度と口にしたくなかった。
シオンは井戸端で村人から礼を言われた。搾取的な契約に気づかせてくれたからだ。彼は礼を受け取りかけ、代わりに自分が根拠のない脱税の噂を流したと明かした。村人は顔を曇らせ、急いでフェルマを探しに行った。
フェルマはシオンの話を記録した。故意に嘘を言ったのなら、相手が損害を訴えることもできる。だが地主の契約が不当かどうかは別に調べると約束した。正しさと嘘を一緒にはできない。
午後、隣村の水車が緊急に開放され、荷車が粉挽きの列を作った。シオンは袋を運ぶ仕事を頼まれたが、断った。手伝えば自分のせいで止まった水車が戻るわけではない。それでも断った理由が気取り以外にないことを、彼はよく知っていた。




