↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の美学――染物師の弟子は、最高のヴィランを目指す  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
149/156

金を払う恐怖

中央町の商人組合は、店を荒らす悪戯が増えたため、夜警を一人増やした。費用を巡って店主たちが揉め、通りの外れで商売する者は恩恵が少ないと支払いを拒んだ。議長は多数決を提案したが、少数派が負担だけ負うことになると反対が出た。

シオンは会議を外から聞いていた。自分が夜の通りに黒い紙を貼れば、警備代はもっと上がるだろう。人が恐れを金へ替える仕組みを、ロマスは商売として完成させていた。だからこそあの男を嫌悪する。恐怖を看板に掲げて利益を隠す姿は、彼には醜い。

通りの夜警は高齢の父を持ち、昼には家の修理をしていた。巡回を増やせば身体がもたないため、組合へ代役を頼む。店主たちは金を出せばすべて済むと思いがちだが、実際に歩く足は一組しかない。シオンは屋根の下で雨宿りする夜警とすれ違い、目を逸らした。ここで人を脅せば、男は疲れた足でも立ち向かってくるだろう。それを試したい衝動があり、試せば自分がどれほど浅ましいか知る気もした。

ところが店主の一人が、以前火事で家族を失ってから夜警を必要としていると語った。家を守るため金を出す人の恐怖と、人から奪うため作る恐怖は違う。議長は通りごとに警戒の巡回数を調整する案を採用した。

夜の見回りでは、夜警が雨の降る裏路地を歩き、閉じた窓を一つずつ確かめた。シオンは黒衣を目立たせず、灯の外から眺めた。ここへ本当の悪が現れれば、一番先に立ちはだかるのは名もない夜警かもしれない。

宿の部屋で彼は手帳へ書いた。人を恐れさせることに値段があるなら、誰にその代価を払わせるかは自分が選ぶ。紙に書いた途端、その言葉は美しく響いた。実行する日が来れば、美しさだけでは済まないことも知っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。