小さな刑の大きさ
エダは処分の通知に、罰金と二十日間の夜間外出制限を記した。脅迫状によって会計係が避難し、商会の警備が増えた費用については民事で争うよう案内が付く。シオンはその場で文書を受け取り、抗告の期限を尋ねた。
夜に外へ出られなければ、彼が夢見る黒衣の姿を見せる機会は減る。それ以上に、共同工房の夜間修繕を引き受けられない。サナは契約を見直し、昼の仕事だけをシオンに割り振った。手間が増えると不平は言ったが、共同の取り分は急には減らさなかった。
外出制限を伝える通知には、荷の緊急輸送など正当な理由がある場合の例外も記されていた。シオンは理由をでっち上げることを考えたが、家主が保証人として呼ばれると知ってやめた。規則を破る自由を欲しながら、他人の名前を巻き込むところで手が止まる。そうした逡巡を美徳と思うつもりはない。ただ卑劣な口実を一つ選ばなかっただけだ。
夜警のバルトが外出制限の説明へ来た。二人が橋で出会ってから、ずいぶん多くのことがあった。「お前を追い回すための規則じゃない。怖がった家の人が眠るためだ」。シオンはその言葉を聞き、恐怖を与えたという実感にまた喜びかけた。
家主オルデは決められた時刻に戸の鍵を掛けた。シオンの部屋は狭く、黒外套は壁の釘に掛けるしかない。町の夜景を見下ろす塔とはほど遠い。机の上には半分縫い終えた革紐と罰金の領収書が並んでいる。
夜更け、向かいの家から赤子の泣き声がした。母親があやす声を聞きながら、シオンは窓を開けなかった。自分が欲する大きな悪は、こうした静かな家の時間を壊す力を含む。その事実から、もう目を逸らすことはできない。




