審理を待つ商人
ロマスは港の取引所から姿を消したが、商会の倉庫にはまだ彼が雇った人々がいた。女の清掃係は一月遅れの賃金を請求し、番頭は税の支払いに必要な伝票を探している。雇い主が訴えられただけで、机の上から仕事が消えるわけではない。
ロマス本人は監督付きで自宅に留まり、法律家と面会を重ねていた。近所のパン屋によれば、彼は朝食のパンを毎日同じ時刻に買うという。シオンはそれを聞いて腹立たしくなった。自分が奪いたかったのは商人の一日の自由ではなく、平然と人を使い捨てる確信だった。
番頭は空いた帳場の椅子に座ることを嫌がった。そこはロマスが長く使った場所で、客からの苦情を受けた記憶ばかり残っている。新しい椅子を運ぶ金はなく、彼は立ったまま書類を綴じた。事業の責任が裁かれても、残る家具の使い方すらすぐには決まらない。シオンは戸越しにその姿を見て、相手の破滅を望む心に妙な空しさを覚えた。
ネラは被害者の名簿から重複した請求を除いた。間違いを見つけると、人は時に同じ日に二つの荷場で働いたように記されている。偽りの申告もあれば、班長の名で賃金を受け取らされた例もあった。白黒をつけるたび、さらに確かめる仕事が増える。
シオンは面会を申し込み、断られた。家の門を叩けば護衛が来る。以前なら黒い紙を貼っただろうが、今回は何も置かなかった。ロマスを追いつめた証拠は公の場にあり、相手がどう眠っているかまでは自分の手が届かない。
門から戻る途中、老女が倒れた荷車を起こすのを手伝った。善行に喜びはない。しかし荷車の下に挟まった小麦袋を見た時、面会を拒否された悔しさより、他人の一日に触れた実感の方が強かった。そのことが、彼には面白くなかった。




