六人の背中
『夜の王』の六人組は、酒場を離れて北の石切場に出没するようになった。そこで働く季節雇いの者から、仕事道具を取り上げていた。シオンは尾行し、六人が仲間というより借金で繋がれていることを知った。金髪の男だけが得をして、残りは食費を稼ぐために従っている。
石切場の道具小屋には、冬の採掘を支える油と縄が保管されていた。シオンはその夜、男が奪ったつるはしを取り戻すため小屋へ忍んだ。中にいた若い手下が、灯を向けて震えた。「やれと言われたんだ」。シオンは顔を覆う布を外し、相手を逃がした。ただし男に伝言を持たせた。『奪ったものは返せ。次は名で呼ぶ』。
言葉は広まったが、男は従わなかった。代わりに手下の一人を殴り、逃げた者を探させた。シオンは手段を誤ったと悟る。脅しが届く相手と、その脅しの皺寄せを受ける相手は違う。石切場の親方は作業を止め、労働者の安全を確保した。
町会が衛兵の増員を決める一方、石工組合は採掘量の減少を心配した。家を建てる者、道を直す者、そのどちらも石を必要としている。シオンの敵は六人なのに、混乱は町全体へ波及する。
石工たちは、北門の改修に使う石をどこへ回すか相談していた。採掘が遅れれば大きな橋の工事を縮める必要があり、縮めれば春の増水に備えられない。親方は傷を負った見習いの名を台帳に残し、欠勤中の賃金を組合から出すよう掛け合った。六人の悪事を一つの殴り合いに変えるわけにはいかなかった。
工房で新しい外套を縫いながら、彼は裾を短くした。走れる長さに、隠せる内ポケットを二つ。悪の衣装は見せるためだけにあるのではない。失敗を数えた分だけ、針はまっすぐ進んだ。




