四人だけの工房
水路沿いの借家を共同工房に使うと決めたのは、シオンを含む四人だった。帆布職人のサナ、皮革職人のヴェグ、帳面を綴じる若いケル。全員ロマスの取引を失い、賃金の目途が薄かった。家主は一月分の家賃を前払いさせ、契約書に四人の名を書かせた。
彼らの最初の仕事は、壊れた穀物袋の修理だった。儲けは少ない。サナは手早く縫い、ヴェグは革で底を補強し、ケルは注文を写した。シオンは人手を指揮しようとして、すぐに反発された。「ここはあんたの王国じゃない」。サナの一言に、彼は針を止めた。
工房は仕事の分配を話し合いで決めた。料金も、休む日も、共同で使う道具も。シオンはそれに従ったが、心のどこかで不足を感じる。人が自分の声一つで動く景色を求めるなら、こうした対等な関係から離れる覚悟が要るのだろう。
工房の四人は毎週、誰がどれだけ稼いだかを同じ帳面で確かめた。ケルは計算を間違え、ヴェグは不平を言ったが、サナが二人の分を調べ直した。シオンは以前なら帳簿を独り占めしたかもしれない。今はみな同じ額を見ている。それを窮屈だと思う自分が、いつか誰と別れることになるのか、まだ考えたくなかった。
夕刻、ケルが帳面にロマスからの取引取消しを赤字で記した。四人が失った金額は予想より大きい。サナは額を見て怒り、ヴェグは他の客を探そうと言った。シオンはロマスを追い詰める手段を考えたが、それを四人の仕事には持ち込まなかった。
工房の窓は川を向き、遠くに共同倉庫の屋根が見えた。外で子供が遊び、洗濯女が布を干す。シオンはその窓へ黒い花を飾らなかった。ここに来る客は、脅されるためでなく修理を頼むために来る。彼は二つの顔を混ぜないことだけは決めた。




