火の消えた窯
南の丘の陶工ロフェンが、窯の火を止めた。公領へ送る壺の注文が滞り、焼き上げても運搬の契約がつかないためだ。物流を握る仲介人ロマスが賃料を急に上げたという。陶工は値上げの理由を尋ねたが、保険のためだと曖昧に答えられた。
シオンはロフェンを訪ね、契約書を見せてもらった。賃料のほかに『夜間警護代』とあり、七枚花弁の札が付いている。荷詰め場の少年から金を奪った仕組みと同じ匂いがした。ロフェンは契約を拒み、別の船頭を探していた。
だが他の船頭たちもロマスの仲介なしには港を使いづらいという。彼は積荷の時間割を押さえ、倉庫の空き場所を管理していた。表向きは便利な仕事だ。実際、彼がいなければ困る商人も多かった。シオンは悪人が善良に見えるのではなく、有益な顔と残酷な顔を使い分けることを知った。
窯の冷えた日は、若い見習いたちが町の祭りで売る小皿を作った。大口の注文にはならないが、手を止めずに済む。ロフェンは土の乾き具合を見て焼く日を決め、急ぎの取引を断った。シオンは商売を妨げる者への怒りを語ろうとして、形の整った皿を前に言葉を飲んだ。職人たちは別の道をすでに探していた。
ロフェンは窯の残り火を見つめた。ひと冬働いた見習いたちを休ませ、来週から別の品を作るという。負担を増やすより注文を断る。簡単に見えて難しい選択だった。シオンは崩れた煙突の外巻き布を直し、仕事の代金を受け取った。
丘を下る途中、彼はロマスへ手紙を書くことを決めた。営業をやめろと要求するためではない。自分の花を誰の許可で使ったのか、直接答えさせたかった。黒い封筒に名を記し、五枚花弁の印を一つ押した。




