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どうしてここに。なぜここがわかったのか。そしていつからいたのか。
聞きたいことはたくさんあるのに、アルフレッド殿下はストンと私の隣に座り、私の紅茶を飲んだ。なぜ。
キンヴァリー様とオリビア様は、唖然とした顔でアルフレッド殿下の持つカップを見て。揃って次に私を見た。違う、違いますよ?
「ナタリア、おいしそうなものを食べているね。一口いただいても?」
そう言いながら、私のフォークを持って行こうとする。
いやいやいやいやいや。
紅茶もそうですけど、自分で頼んでくださいよ。
アルフレッド殿下が今まさに攫おうとするフォークをガシリと掴んだが、力の差は歴然。抵抗虚しく、手ごと私のケーキまで奪われた。
「ナ、ナタリア様……そんな……お二人は、どんなご関係で……」
「あーん、ですか……」
オリビア様は訳知り顔で頷いた。
いえ、これは親しい間柄で行う給餌ではなく、抵抗でしたよ?
よく見て? すごい腕力で奪われているの。
「うん、美味しいよ。もう一口ちょうだい。あーん」
何がおもしろいのか、無駄にキラキラエフェクトをかけたアルフレッド殿下がこちらに顔を寄せた。形の良い唇を少しだけ開けて。
なぜかこちらから給餌したことになってるの!?
この突然の襲撃犯の波動にあてられたのか、キンヴァリー様がふらりとよろめき脱力した。
「ど、どうなさったのです?」
隣の席の会話が聞こえるということは、こちらの声も聞こえるということ。
私は限りなく小さな声とジェスチャーで意思の疎通を図った。
「体調が悪そうだ。もう休んだ方がいいのでは?」
アルフレッド殿下はあたかも主催者のような口振りで退席を促した。
いや、あなた通りすがりの乱入者ですよね???
「そうです、わたくし少し持病の心臓が破裂して」
「それは大変。では今日のところはここで……ナタリア様、また後ほど」
「え、あ、では私も」
残念だが解散の流れか……と思いきや、ギンッと鋭い視線が私を射貫いた。
オリビア様の視線が、動くなと言っている。
ごくり、と喉が鳴った。
それで良い。ひとつ頷いたオリビア様は、シュバッシュバッと風を切るように手を動かした。
対象物から、目を、離すな。
さながら暗殺部隊の熟練兵のような気迫が籠もったサインだった。
任務を放棄すること、すなわち死──というような、存在しない使命が見えた気もするが、この席を立つわけにはいかない。
せっかくできた友人の頼み(指示)だ。
この前線から逃げる道なんて、私にはない。
……対象物って、どっちだろう。




